あたしは今、猛烈に後悔してる。何故か。それは、今までずっと好きだった相手にラブレターを出したから。
一週間前から毎晩何枚もの便箋を犠牲にしてようやく出来あがった手紙を、いつもより一時間も早くい起きて、普段より何本も早い電車に乗って、彼の下駄箱の前で30分も悩んで、悩んでる自分が恥ずかしくて逃げたしたくなったので下駄箱に突っ込んで逃げた。傍から見ればあたしは他人の下駄箱の前で奇声を上げている変態だっただろう。しかし、そんな心配はなかった。なぜなら生徒は部活の朝練ある生徒しか登校していないからだ。そして、そんな人達はきっと部活に勤しんでいるはずだ、と踏んでこの中途半端な時間にしたのである。
チクタクと秒針の音があたししかいない教室に響く。はじめは、ラブレターを届けれたと謎の達成感と緊張が解けたのか、果てしない眠気に襲われた。しかし、あたしは眠ることを選ばなかった。そこで、あたしは手紙の内容を思い出す。あのまま、達成感と眠気に身をまかしておけばこんなに後悔はしなかったはずだ。先ほどの眠気はどこへやら、後悔と羞恥のダブルパンチで爆発しそうだ。

「お、今日はぇーじゃん」

カラカラと軽快な音を立てて教室の後ろの扉が開く。体を捩じって誰か確認すると、まさかのラブレターを送りつけた想い人である福井が立っていた。おい、まじかよ。どうやら福井が所属するバスケ部の朝練は終わったようだ。こんなタイミングで2人っきりとか嬉しくない。あたしがこんな事を考えてるとは思ってもみないであろう福井は呑気に、頭を掻きながら自分の席ついた。おいおい、ラブレター読んだの?もしかして読まずに捨てたとか、いやそれはない筈だ。うん、きっと。それか、あれ、敢えて無かった事にして普通に友達をこれから伝えて行こうみたいな無言の意思表示なの?後ろの席の福井をどうなの?と見る。あたしの顔をみた福井は「なんだよ、やんねぇーぞ」と焼きそばパンを食べていた。いや、いらねーよ。

「そういえばさ、今日さくつ箱にラブレターらしきものが入ってたんだよなー」
「そーなんだ。らしき?ラブレターじゃないの?」
「それがさー」

福井が愛用している青いスポーツバックから取り出したのは、少しよれよれなあたしのラブレターだ。こんな形で御対面するとは思っても見なかった。福井は封筒を透かしてみたりし始める。「名前ないんだよなー」嘘だろ。
「ちょっと見せて」手を伸ばして言えば、「プライバシーがあんだろ」とスポーツバックに直されてしまった。

「ほんと誰なんだろーな」

呑気な福井の声は聞こえない。背中に変な汗が伝う。なんたるヘマをしてしまったんだ…。しかし、良かったのかも知れない、これであの恥ずかしいラブレターは差出人不明ということで福井の中で処理されるはずだ。こんどは、こんなことにならないよう直接気持ちを伝えればいいんじゃないか。そう考えると妙に気持ちが軽くなった。
そんなことは露知らずの福井は、ラブレターをまた取り出して、「会ってみてぇなー」と呟いた。いやいや嘘だろ。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -