※気持ち悪い青峰



「お前のこと、ぐっちょぐちょにしたい」

あたしの顔をみた、ヤツの第一声はコレだった。廊下ですれ違っただけで、腕を掴まれ、発情期?と質問したくなる言葉をを投げかけられたあたしの脳みそは、瞬時にコイツは正常じゃない、と判断した。ヤツは、変態だった。そして、ストーカーだった。

ことあるごとに、あたしの前に現れ、「ぶっかけたい」「パンツ見せて」「つっこまさせて」エトセトラ、卑猥な言葉を吐き捨てていく。あたしがリアクションしないのを面白くなさそうに頬杖をついて眺める。そして、消える。お決まりのパターンとなっていた。


「よぉ、」

ほら、来た。あたしは何時ものように無視をきめこむ。

「なあ、オレとシよーぜ。セックス。気持ちよくしてやっからよ」

「まぁーた、無視かよ」と、あたしの前でひらひらと手を振るヤツは、口を歪めている。いつもと、違う様子に、違和感を覚える。

「なあ、きぃてんの」

ぐいっ、手を掴まれる。いきなりのことで、頭が付いて行かず、机に腹が食い込む形になる。

「お前とセックスしたいんだって」
「キモい」

耳元で囁かれた言葉に、咄嗟に出た言葉がキモいだった。ていうか、名前も知らないヤツにセックスしたいって言われてもなんだけど。
この位置からは、顔が見えないから、ヤツがどんな顔をしているかなんかわかんないけど、というか、どーでもいいけど。
すると、手が離された。手首を見るとうっすら赤くなっていた。ヤツは、いつもと同じように、面白くなさそうに教室から出ていった。



「そういえばさー、今日、青峰くん休みだってよー」

友達の話題に上がった、人物の名前に聞き覚えがなくて尋ねると、「あんたに、セクハラ発言してるヤツ」と返ってきた。どうやら、ヤツはアオミネとか言うらしい。ぼんやりとしか顔は思い出せないけど。

「なんで、休みなの?」
「しらなーい、事故とか?」

「それはないでしょ、死にそうにないし。」と別の友達が笑う。
次の日、顔にガーゼを貼りつけてやって来たヤツにうんざりするのは、また別のはなし。
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