「まっくろくろすけってさいると思うんだ、オレ」

凄まじい決め顔でなに間抜けなこと言ってんだよ、とは言わなかった。コイツには何言っても無駄(マイペースすぎて)なので、「そうだね〜」と適当に相槌を打つ。

「あ、でもまっくろくろすけがいるならトトロもいるだろうな。生きてる間に一回は会ってみたいよな、トトロ」
「そうだね〜」
「あ、でもトトロで子どもの時にしか見えないらしいな。オレまだ大丈夫かな」

アウトだろ、とは言わない。言ったらどうぜ「童心に帰れば不可能はないからな!」とか言うのがわかってるので、「心が綺麗ならなんでも見えるよ」とどっかで聞いた知識を教えてやった。

「そういえば、ずっと気になってたんだけどそのキーホルダーなに?」

ぷらぷらとカバンの横で揺れているキーホルダーを指差して、木吉言った。ああ、これね。

「皆の人気者、ネズミーランドのネズミーだよ」
「げっ」

カバンから外したそれを木吉前で揺らす。キャラクターの名前を聞いた瞬間、木吉は顔色を変えて後ろに下がった。机に足ぶつけてるし。

「どうしたの?」
「いや、オレさネズミはダメなんだ。」

木吉は真顔でそれ以上近づけるな、と言いながらあたしと距離を保っている。こんなデッカい図体してネズミが怖いってなんのギャップだよ。
木吉の反応が面白くて、少しずつ近づく。こいつがビビってる姿なんてなかなかレアだ。そうだ、にやり、あたしが笑う。
ひょい、と木吉目掛けて飛んでいくネズミー。木吉はぎゃあああ!と悲鳴を上げて目にも止まらぬ早さで出て行った。爆笑である。

collar
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