これは悠亜が
柳赤だけど2人とも
悠亜のことも好き
という設定でリクしたものです
夢要素を含むので、ご注意ください
しかし柳赤が大前提です
change!
(夢主視点)
バイトの休憩中、まるでタイミングを計ったかのように携帯のバイブが振動した。ディスプレイを見てすぐに通話ボタンを押して電話に出ると、いつもより枯れている彼の声が聞こえる。
『う…。悠亜、』
「ちょ、バカ也?どうしたの?」
『…しんどい』
「は?具合悪いの?今どこ!バイトは?」
あれこれ質問するあたしに1つ1つゆっくり答える赤也に了解の返事を返して電話を切る。急に具合が悪くなってバイトも帰らされ、ふらふらで家に帰れば熱が39度あったらしい。
「あれ?悠亜、もう休憩終わるよ?」
バイト仲間がそういう中、纏めた荷物を肩にかけてバイト先である飲食店を飛び出した。
「ごめん、帰るって店長に言っといて!」
大通りを早足で歩いて近くのコンビニへ。バイト先の近くにコンビニがあってよかった。ちなみに住んでいるマンションも近いので非常に便利である。コンビニで冷えピタや薬、スポーツドリンクを漁りながら仕事中であろうもう1人の同居人に電話をかける。出てくれるだろうか。
『悠亜か。どうした。』
「バカ也が熱出したんだって。今日何時に仕事終わ」
『5分で終わらせて家に帰る。』
早口で告げられ返事をする暇もなく切られた電話に苦笑する。蓮二もあたしも、心配性なのはわかっている。いや、ただ単に赤也が好きなだけか。やたらトロいレジの店員に苛々してると、"5890円になります。"と笑えない店員の声が聞こえた。
「(生活費が…!!)」
「ただいま!赤也!」
2言目に赤也!と叫んでばたばたとリビングに入ればソファでぐったりしているもじゃもじゃワカメが見えた。
「ほんと馬鹿!だからバカ也なんだよ布団で寝なよ!」
病人がソファとは何事だ。神業的スピードで布団を敷いて赤也を引きずって寝かせる。あぁ苦しそうだ。見てるこっちまで苦しい。それにしても、いつも血色の良い頬は更に真っ赤になっていて、瞳には薄い膜が張っている。薄く開いた唇がやけに色っぽい。
「(な、に考えてんだあたしぃぃぃ!)」
「おかえ、り。―――――――い゙っ!」
赤也に声をかけられなければヤバかった、気がする。ぱちんと音を立てて冷えピタを貼ると小さく叫び声を上げたが無視だ無視。
「あ、あたし隣の部屋にいるから!何かあったら声かけて!」
早々に立ち去らないとヤバイ、色々と。
膝に力を入れて立ち上がろうとすれば弱々しくあたし服の裾を掴む、手。悠亜、と呼ぶ声は掠れててこっちの心臓が危ない。お願い放して今のアンタは悪魔化より危険なんだ!
「な、なに?」
「おかゆ、食べたい」
あかや の うわめづかい !
こうかはばつぐんだ!
悠亜 は やけど をおった
「わわわわかったから!おーけー了解だから買いに行ってくるおやすみ行ってきます!」
あぁああもうヤバい何がやばいって色々と。慌てて物に当たったりこけそうになったけど気にしてられない。あそこにいる方が間違いなく危険だ。赤也を一人残すのは可哀相だがもうすぐ蓮二が帰ってくる筈!
マンションを出た所で蓮二を見かけたので引きとめる。
「蓮二!」
「悠亜。赤也はどうだ?」
「寝させた、筈。あたし今からおかゆ買ってくるから、」
「俺が行っても構わないが。」
「い!?いやいやあたしが行くよあたし今すっごくコンビニ行きたいから!」
「…?まぁ、気をつけろよ」
頭にぽんと手を乗せてすれ違う。その背中にエールを。
「き、気をつけてね!」
「…何にだ?」
「あれもう発熱どころじゃないよ一種の発動だよ!」
蓮二ならあたしよりまだ我慢がきく、筈。後はまかせた蓮二!
(赤也視点)
あつい。悠亜も出ていっちまってする事がない。寝ろ、と言われたが何となく不安で、落ち着かない。眠くも、ない。汗でべたつく体が気持ち悪いが今風呂に入って倒れたらそれこそ柳さんの開眼ものだ。薄着になるに留めてぼーっと座っているとドアが開く音がした。
「悠亜?」
「俺だ。………!」
俺を見て柳さんは顎に手をあてて「成る程な」何てぼやいてたけど、何の事だがわからない。俺の姿をもう一度ちゃんと見た柳さんはめちゃくちゃ眉間に皺を寄せてずんずん近づいてくる、至近距離。
それから怒涛の如く続く柳さんの尋問。「何故布団にいない」とか「その薄着は何だ」とか。薄着は駄目だったらしい。その度に俺はすいませんとしか言えずに後ずさるばかり。開眼しないで下さい。気が付くと背中に壁が当たって、逃げ場がないことを悟る。
すると柳さんはフッと笑って、さらに俺に詰め寄った。
「どうする、大人しく布団に戻るか?」
「うぐ…だ、だって!俺、元気っス!」
「ほう」
「こんなの熱のうちに入んないし!」
「……」
「ちゃんと立てるし歩け……、んっ…!」
言いかけた瞬間、俺の言葉は柳先輩の唇に飲み込まれて。離れようとしても、いつの間にか後頭部と腰をがっちり掴まれていて身動きがとれない。それとは逆に、舌は俺の口内を自由に動き回る。絡めて、啄んで、また絡めて。歯列をなぞられれば背中を巡るぞくりとした感覚。長いのキスに、頭の中がとろとろに溶けてしまいそうな気がする。俺の息の限界を悟った柳さんは、俺の唇をペロリと舐めてからゆっくりと唇を離した。
「……っは、」
「どうした?自分で立てるんじゃなかったのか?」
足がガクガクして、ちゃんと立てない。そのままくたりと柳さんに寄りかかる俺を、柳さんは楽しそうに喉で笑って見ていた。
頭の芯まで溶けそうだ
(ただいまー)
(…バカ也、何で寝てないの?)
(大丈夫だ、俺が灸を据えておいた)
(全然、だいじょーぶじゃないっス…)