小説 | ナノ



柳生と仁王
真田と幸村
ブン太とジャッカル
赤也と柳さん
で読んでください




全国の前に柳生と2人で海に散歩に行った
メンバー発表の日やった

あの日、浜辺に座って
2人で膝抱えて話して、約束した

絶対に勝つ、って

その浜辺に今日は一人で。

けど、きっと来る柳生さんは

「仁王くん」
「なあ、負けてしもたの」
「はい」
「約束した、のにな」
「いいですよ。」
「柳生の分まで頑張るって・・・!」
「いいですってば
あなたは必死に戦ってくれました
それだけで十分です
・・・ありがとう、仁王くん
おつかれさまです」

あのメンバー発表で補欠になることに
なんの躊躇いも見せんかった柳生は
なにかを心に決めたんやろう

今回俺がわかったことは
柳生さんのおるコートが
安心して俺が活躍できるやってこと。

だから心に決めたことが
テニスを辞めるとかなら
許さんぜよ、柳生さん




「こんな毎日の中じゃ生きがいなんて・・!」
そういって辛そうに顔を歪める幸村を
抱きしめてやることしか俺にはできなかった

けれど、無事手術も成功し
辛いリハビリにも耐え退院した幸村は
俺が手を差し伸べる必要もない位に復活し
コートを駆けてラケットを振り続けた

王者校の部長であるという誇りや期待
病み上がりだという不安
それらの重圧に幸村が崩れることはなかった
が、確実に、幸村から何かを奪っていった

部長として、神の子として、
入院前と変わらず、いやそれ以上に
強かにコートに君臨していた幸村

負けてしまい引退した今でも
その風格は変わらない


「立海の部長としてここに立つといろいろ
雁字搦めになっちゃうけど
もう、いいよね、真田....」
「なにが、いいよねなのだ?」
「テニスを、楽しんでもいいよね?」

そういって笑う幸村の顔は
決勝戦のときの越前の笑顔に似ていた



「ジャッカルー」
「なんだ」
「引退、だな」
「ああ」
「負け、たんだよな」
「・・ああ」
「テニスしないで、毎日過ごすって
どうやればいいんだろーな。
なぁ、ジャッカル
おれ、どうしたらいいかわかんねーや」

俺の名を呼ぶあいつの声は
ガムをかんでいないために
はっきり通っているのに
いつもよりおとなしく聞こえるのは
やっぱり、泣きそうだからなのか

でもごめんブン太、
俺も、お前と同じだ
今日は、励ましてやれそうにない




「柳さん」
隣に座っている柳さんの手を握り
空を見上げながら話す
「・・なんだ?」
さっきまで一言も話さなかった俺が
言葉をいきなり発しても
驚かなかったあたり、予想していたのだろうか

「おれ、先輩みんないなくなっちゃって
でも、部長で、甘えてられなくて」
「ああ」
「寂しいっす、正直
大変だし、」
「そうだろうな」
「でも、頑張ります
おれが、俺達が優勝旗取り戻すんで
心配しないでください」

空から目線を俺に戻した赤也
迷いのないまっすぐな視線と
目尻に溜まった涙
そして、力強く握られた手の温もりに
やっと涙は流れはじめた







なごり夏/BENNIE K


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