大好物のおかずはって、なんでもいんだけど、とにかく肉が好き。あ、母さんが作る鶏のあんかけとか世界で一番うまいと思う、すげえ好き。
だけどどれも勝てないんだよな〜。幸村くんには全くかなわなくて、もし幸村くんがおかずだったら俺、軽くどんぶりで50杯はご飯食えるかも。
でもそんなこと言ったら絶対「じゃあやってみてよ」なんて言うんだろうけど、あくまでもこれはたとえの話で、そんなこと実際できっこない。「丸井だったら大丈夫だよ」だなんて、そんなこと言われても無理なものは無理だから!!!ちなみにオカズって変な意味じゃないから、嫌わないで。「俺はオカズにしてるけど?」ってそんな報告いらねぇから!!!
「はぁ」
「どうしたの、ため息なんか。丸井らしくないね」
「・・・・いいのかな、俺こんなに幸村くんのこと好きで」
「いいでしょ、俺も好きなんだし」
「いいのかな、俺すっげぇ幸村くんにのめりこんでるけど」
「いいでしょ、俺もそうだから」
幸村くんが寝転がっているベッドに腰掛けて話す。恥ずかしげもなく自分の気持ちを口にする彼は素晴らしい。
「(男同士だとか、そういうこと、今更だとは思うけど。)」
今は中学生で特に問題はないけど、これから成長していく過程できっとたくさん問題は出てくるんだろう。そういうの、幸村くんは考えないのかな。パチン、とガムを弾かせながらそんなことを思っていると急に腕を引かれ、俺が覆いかぶさる形になる。(驚いたせいでガムを飲み込んでしまった)
「丸井、」
そう声をかけてくる彼の声は、少しいつもと違った真剣な声色。
「俺病院でさ、明日なんて来なければいいのに、って・・――もう死んでしまえればいいのに、って何回も考えてたんだけど、丸井が毎日遊びに来てくれることを考えたら、ああ生きなきゃな、って、」
「ゆきむらくん・・・っ、」
「だからありがとう、丸井。これからも俺と生きて?」
俺の心のちょっとした不安を見透かすように、まっすぐにキレイな瞳に見つめられて、うん以外の返事が瞬間的に思い浮かばなかった。
というか、彼がそう言ってくれるのなら俺はそれに一生付き合う気でいる。
「俺、幸村くんにありがとうって言って死ぬって決めてるから」
「なにそれ、俺もそうしたい」
「やだ、俺幸村くんが死ぬのなんて見たくないし」
「俺も俺も」
しょうもないやり取りをして、顔を見合わせて笑って。
「じゃあ、死ぬまで一緒にいてくれるんだよね」
「そのつもり」
「ふふっ、」
すきだよ
小さく耳元で囁かれた言葉に微笑み返し、彼の唇にそっと唇を合わせたある冬の日の夜の出来事。