立海大附属中に入学してきた1人の少年。
彼の名前は切原赤也
入学当初から「No.1になる!!」などと、なかなかの威勢のいいことを言うちょっぴり小生意気な少年です。
そんな彼は最近、テニス部に殴り込みに行ったときに挑んだ3人の鬼才の中の1人、柳蓮二が気になって仕方がありません。その“気になる”の正体は勿論“恋愛”としての意味で。
彼は、三強と呼ばれる鬼才の中でも特別少年を気にかけてくれました。それはテニスだけでなく、勉強面であったり、生活面であったり。彼はとても優秀な人でした。
少年は悩みました。部活の先輩で、男同士。しかも認めたくないことではありますがテニスでは足元にも及ばない、夜空に浮かぶ星のように遠い人。
『夜空の星のように届かないものだから、ただ欲しくて焦がれているだけなのだろう。ただの憧れだ。』
そう思おうともしてみましたが、彼に自分の名を呼ばれるだけで、少し触れられるだけで、瞳を合わせられるだけで、顔に異常なほど熱が集まるのです。これではやはり、“憧れ”などという枠に収めきることはできないと、少年は自分の気持ちを認めるしかありませんでした。
少年が自分の気持ちをはっきりと理解してからも、自分がそんな風に思われているなど知る由もない彼は、少年に微笑みかけ、頭を撫で、優しい声で名前を呼ぶので、少年は耐えられなくなりつつありました。
ある日の部活終了後、少年は用具倉庫へボールなどを片づけ終えたとき、とうとう涙が零れてしまいました。その日あったダブルス練習で2人はダブルスを組みました。その時の優しく彼が頭を撫でてくれたことを思い出したのです。ダブルスもうまくなったな、との言葉と共に。しかし、それだけではありません。今日の練習中、立海の女生徒数名が彼の応援をしていました。普段からよくあることなのですが、今日はなぜか重く心にのしかかりました。
泣いたまま部室へ戻れば先輩たちにからかわれることは必至。それに、例の彼もいます。涙もなかなか止まらないので、用具倉庫の裏に座り込み、今まで我慢していたものと合わせて思いっきり泣きました。どうして好きになってしまったのだろう、どうして彼なんだろう。叶うのならば、彼に愛されたい、と。
「赤也、」
泣きながら眠り込んでしまったのでしょう、すっかり暗くなってしまった空を背に優しく起こしてくれたのは彼で。
「どうしたんだ。なかなか帰ってこないと思って探してみれば、こんなところで泣きながら眠っているなんて。部活で何か嫌なことでもあったか?」
「っ・・どうして、柳先輩が、いるんすか?」
「今日の鍵当番は俺だ。」
「・・・すんません、さっさと着替えますね」
そういって立ち上がろうとした彼の肩をぐっと押し、もう一度座らせて彼はこう言いました。
「俺の質問の答えがないな。泣くほど嫌なことがあったのだろう?話してみろ」
話せるわけがありません。あなたに恋していてそれが辛くて泣いていました、だなんて。しかし、今日の彼はどことなく強引で強情な気がしたので、適当な答えであれば帰らせてもらえないような気がしました。自分の中だけで抱えておくことに疲れ気味であった少年はもう告げてしまってすっきりしようと、腹をくくりました。
「・・・・愛されたいと、思ってたっす。柳先輩・・・アンタに」
そう言うと、彼が次に発する言葉への恐怖と、今までの関係を壊してしまったのだ、という少しの後悔でまた涙があふれてきました。
彼は、いつも閉じている瞳を少し開き、驚いたようでした。ですがすぐにいつもの表情に戻り、少年へ手を伸ばしました。「・・・・予想外だな」と小さく呟きながら。
「えっ・・あ、せんぱ・・・」
「すでに俺はお前が愛おしくて仕方がないのだが。」
実は、彼の心も少年に向いていたのです。
「・・・俺のこと、好きってことっすか?」
「そういうことだな。」
「・・・そっか・・・・・・・・へぇ・・・・・・・・!・・・・・・・へへっ」
驚いたようでしたが、状況を飲み込むと少年は彼の胸へぎゅうっと顔を押し付けました。
「先輩、好きです。大好き。俺のこと、愛してください」
顔を押し付けたまま言った言葉だったので、くぐもった声でしたがきっちり彼の耳には届き、彼は少年を抱きしめる腕の力を少し強くしました。
「もちろんだ」
彼の腕の中の少年は、とても幸せそうでした。
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いつもと全く違った書き方をしてみたものの撃沈というパターン。
なんだこれ、気持ち悪いwwwww
第三者視点ってやつです、前もあかんかったのに懲りないってwwwばかだ
しかも小説書かなさ過ぎて腕の鈍り方が異常。久しぶりの更新がこんなものなんて申し訳ない・・・!!
時間軸は2年柳と1年赤也でも、3年柳と2年赤也でもどっちでも読めると思います。あたし的には前者です。ですが前者にするとレギュラー入りの時期がよくわからないことに。その辺は無視でお願いします
YUKIちゃんの鳴いてる怪獣を基にしてます。ちょびっとだけ。
読んでいただきありがとうございました!