小説 | ナノ



*柳赤柳っぽいです









朝目覚めると、隣にいたのは昨日の夜におやすみを言った柳先輩ではなかった。



「・・・え、なんで先輩小さくなってんすか!?」

「わからない・・・おきたらこうなっていた」

「っちょ、なんでそんな冷静なんすか!?とにかくっ部長たちに報告!!行きますよ!!!」


合宿2日目の朝の出来事。












「・・というわけで、柳はこの通り、小学一年生くらいの大きさになってしまったから、今日はマネージャーとして働いてもらうことにしたよ。マネって言っても、いつもみたいにデータ集めてもらうくらいだけど。」

「そんな身体じゃ、飲み物も運べんもんな」

「それで、レギュラーのダブルス練習は明日に変更する。明日になっても治ってないときは、それはそれで。ってことでいい?」

「ああ、すまないな」


小さくなっている柳先輩は、昔の頃のような髪になっているわけではなく、今の先輩をそのまま小さくした感じ。だから髪は短い。それでも、顔立ちがすこし丸くなっていて、いつもの長袖ジャージをぶかぶかで着ているのが可愛い。ぽけっと見惚れていると後ろからドシンっと丸井先輩が体当たりしてきた。


「なんっ・・・すか!危ないなあ!」

「赤也お前、柳になんか変なモン飲ませたんじゃねぇの?」

「んなことするはずねーっしょ!それ、逆に俺がやられる可能性のが高いっすから・・・」

「ま、そだな。んじゃ練習すっか〜行くぞ」


部長のあれだけの言葉で、もう普通に練習を始めている先輩たちの適応力に驚いたが、そんなことを言っても仕方のないような人達だ。深呼吸して気持ちを落ち着かせははっと笑いながら不思議なこともあるよな、と言い合うジャッカル先輩と丸井先輩の後を追いかけた。



熱中症にならないように度々休憩をはさみながら、合宿にふさわしいメニューをひたすらこなした。そしてに昼休憩になった後すぐに、柳先輩の元に駆けよった。


「せんぱいっ!疲れてないっすか?」

「ああ、すわってデータをとっているだけだからな。」

「もしなんかあったときには呼んでくださいね!飛んできますから」

「あかやがおれのところにくれば、あかやにはげんいちろうのげんこつがとんでくることになるが・・・」

「・・・いやなこと言わないでくださいよ」


むう、と頬を膨らませた俺の機嫌を取るように、小さな手でふわふわと俺の頭を撫でる柳先輩。いつもより小さな手が、ちょっと切なかった。


「うそだ。おれのことは、しんぱいしなくてもだいじょうぶ。・・・そういえば。サーブのスピードがすこしあがったようだな。たいじゅうのいどうをもうすこし、くふうしてみろ。もっとあがるはずだ。つぎからはしあいだろう?ためしてみろ。」

「ホントっすか!?やったあ!ありがとうっす!」


そして次の学年別ゲーム形式の練習で、柳先輩に言われた通りのことをやってみれば以前よりも少し楽に打てるようになった。それをすぐに伝えたくて、違うコートで三年生のデータを取っていた先輩の元へ走る。今日の練習はもう終了が告げられたところだ。日が落ちて辺りはほんのり暗く、コートには俺と先輩しかいない。


「柳先輩!!さっき、お昼に言われた通りのこと試してみたら、楽に打てるようになりましたよ!!」

「そうか・・・それはよかった」


そう言って本当に嬉しそうに笑う先輩はいつみてもきれい。今日はちょっとおさないけど、そのあどけなさが残る笑顔も素敵だった。他愛ない話をしながら、宿舎まで歩いて戻る。しばらくすると、歩幅の違いからか、慣れない身体で一日を過ごしたからか、先輩が座り込んでしまった。


「あかや、・・・つかれた。」

「あ、すんません、いつものように歩いちゃいました・・・だっこ、してあげましょーか?」

「ああ、たのむ。」


座り込みながら手を伸ばすしぐさにきゅんとしながらも、先輩の前にしゃがみ込み、抱え上げたたその時。先輩の両手が俺の頬を固定したかと思うと、そのまま唇に柔らかな感触。


「〜〜〜〜っ!?不意打ち・・!!」

「ふ、ゆだんしていただろう。れんしゅうがんばった、ごほうびだ。このおおきさじゃ、どうがんばってもあかやのかおにとどかないからな。」

「・・・ちっちゃくなっても、やっぱり中身は柳先輩なんすね」

「そりゃあそうだろう」

「・・・・小さい先輩も可愛くって好きっすけど、大きい先輩にぎゅってされたいなあ・・・・」

「・・おれも、いまあかやをだきしめたい」

「・・・早く、戻ってよ。」


地面に座り込み、ぎゅうっと先輩を抱きしめる。同じ香りがするけど、いつもと違ってその香りに包まれるのではなく抱きしめているなんてやっぱり変な感じだ。


「あしたには、もどりたいな。このせたけじゃあデータをあつめるのにもくろうする。・・・あかやとダブルスれんしゅうもしたいしな。」

「そうっすよ。でもまあ・・・せっかくだし今日はこの先輩を堪能します!お風呂とか、ご飯とか、手伝ってあげますからね」

「おふろな・・・がまんできなくてもしょりしてやれないぞ。このてとくちじゃ、むりだ」

「なっ・・・!それくらいガマンできるっす!!」

「どうだか。」


そのあとに抱っこして歩きはじめた俺の耳元に唇を寄せ言い放った言葉に、俺は真っ赤になって先輩を落としそうになった。





「もとにもどればまんぞくさせてやるから、それまでまて、だな」














凛さんのリクエスト?小説でちび蓮二と赤也のお話。Skypeしてる時に頂きました。うわー難しい!チビちゃんが難しい!チビちゃんになっても大して問題のなさそうな子なんでさらに。

しかも柳赤にしようとしたことがまずの敗因。ゆえに柳赤柳っぽくなってしまった。もっと素敵な小説に仕上げたかったなあ・・・でも書いてて楽しかったです!またリクエストお待ちしております!


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