小説 | ナノ




「はあ...」

思わずこぼれてしまった溜息
しかし咎める人は居ないのでよしとする

現在地、とある近所の公園
時間、18:50
秋になりかけているこの時期
もう日は落ちかけて薄暗い

引退してなぜこんな時間に
しかも、なぜ公園なんかに。



部活を引退して進学を考える
両親はわたしを医者にしたい
(当たり前の話です)

だから、立海大附属高校以外の、
外部の高校へ行かせようとするのです


それでいいはずなのに、
何故か心に燻るもやもや


誰に相談する事もしないまま日は過ぎ

今日、進路調査の紙を渡された

これを提出すれば、もう....


そう考えると家に帰る気は失せてしまい
意味のない事と知りながら
公園に寄り道をしました

少しだけでも、時間を延ばしたかった...







「・・・・やぎゅ!」


「・・仁王くん?」

「おま、こんなところで・・・!」

「どうしたんですか?
そんなに息を切らして、「あほ!
おまんを探しとったんじゃ!」



ああそうか、

わたしと仁王くんは一緒に帰っている

いつのなら帰っているであろう時間に
わたしが帰ってこないので
母が仁王くんに連絡したのだろう



「なんもなくて、よかった」

そういってわたしの隣に腰掛ける

「どないしたん?」

そう言って覗き込んでくる
この目に見られると嘘など付けない
流石、ペテン師

「・・・少し、進路の事を」

「ふーん・・」

「立海には、進めないかもしれないです」

「そーか」


さも興味なさげな感じであるが
返事がきたので聞いていると判断して
話を続ける

一度話してしまうと
意外に話してしまえるものだ




「で、お前さんはどうしたいんじゃ」

そういってまっすぐ私の瞳を見つめる仁王君

「ほんまにそれでいいって、思ってないやろ」

「わたしは・・・」

「・・・泣きそうな顔しちょる」

「!!」

「ペテン師を騙すんはいくら柳生さんでも
まだ早いの」

そういってくすくす笑い、

「・・柳生さんの気持ちきかしんしゃい」

真剣な瞳を私に向けた

ああ、この瞳の前で
ウソをつくのはやはり不可能だ
そして私の気づいていない心までも
この人は見透かしているように思えてしまう






「わたしは....わたしは・・」

「うん」

「立海に、っ 残りたい・・!」

「うん」

「また、みなさん、と
テニスが・・・したいですっ」

「うん」

「次こそは、 三連覇 っを」

「うん」

「そして、・・あなたと、っもう一度、・・っく
ダブルスをっ 組みたい、ですっ」

「・・うん」

そうだ、モヤモヤの原因は。

最後に試合に出る事ができなかったこと
最後に貴方とダブルスを組めなかったこと

立海でするテニスに未練があること

それらはこころにストンと収まった




泣き出してしまった私の頭を撫でながら
最後まで聞いてくれた仁王くんは
いきなりわたしを抱きしめて、頬や額など
いろんなところに唇を落として行く

くすぐったいのと恥ずかしいのとで
身をよじっていると







「やぎゅ、それ、お父さんとお母さんにいいにいこ」

「しかし・・・」

「大丈夫、俺"ら"もついってたる
一緒にお願いするぜよ」



ら?








「ヒロシ!!!おっまえなにしてんだよ!
いなくなったって聞いてみんなで探したんだぜ?」

「無事でよかったっす!」

「怪我してねえか?」

「みんな・・・」


「俺たちも、一緒だよ柳生
俺たちも、まだ終われない。

みんなで一緒にまたテニスをしよう」


そう言って笑ってくれるみんなに
また涙が溢れてきた




そして7人でうちへ行き

お父さんお母さんに
立海に残りたいと言うと
みんなが一緒に頭を下げてくれた

少しビックリしていた父と母だったが
わかってくれて、立海に残る事がきまった。



「ダブルス、組めますかね」

「さあ..部長は幸村と違うからの」

「ふふ、それでもいいです
あなたと一緒にテニスができるなら」

「・・・・ピヨっ」



一番辛かったのは、
この人と離れる事だったのかもしれないと
柳生は思ったのだった






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