小説 | ナノ



確か今日は柳さん、帰ってくるの遅いって言ってたよな

「もうちょっとガマンな!」

胸に抱えているタオルでくるまれた小さな生き物に声をかける











トットっとテンポよく階段を上り廊下をまっすぐ進んで突きあたりにあるのが俺と柳さんの暮らす家。

俺の大学が決まった時に一緒に暮らそうと柳さんが言ってくれた

2人とも大学生で、勉強やサークルと両立させながらたまにやっているバイトの収入や仕送りでの生活は決して裕福なものとは言えないし、喧嘩だって何度もした。

それでもやっぱりずっと一緒に入れるのは、幸せだ。


鍵を開け、そっと家のドアを開ける



「まだ、帰ってねーよ「おかえり赤也」うわあ!」



今日は遅いって言ってたのに!



「どうした、そんなに驚いて。
・・・その胸に抱えているものはなんだ?」

「え!?え、ああ、別になんでもないっスよ!
寒いんでちょっと部屋行きますね〜」

「・・・・」

柳さんをごまかしきれるとは全く思わないからさっさと部屋に引き上げようとしたところがしり、と腕をつかまれた



「それはなんだ、と聞いているのだが」



少し不機嫌そうに眼を開き問い詰められる。こんな風になれば、もう逃れられない。

あ、とかう、とかいっているうちにタオルからもぞっと顔を出した腕の中の動物。

「あ・・!こらっ、」

「・・・うさぎ?」

「・・・・こいつそこで、段ボールに入れて捨てられてて。今日、雨降ってるし、寒いからほっとけなくて。・・・お願い、柳さん!このこ、飼わせて!!」

きっとダメって言われるんだろうな、と思ったら

「ああ、別にかまわないぞ」

「いいの!?」

「俺はそこまで冷たい人間じゃないさ。
それに、俺は動物が好きなんだ」

「そうだったんスか!?」

「ああ、知らなかったか?
まずはそいつの場所を作ってやろう。段ボールがまだどこかに残っていたはずだが・・・」

「いいって!よかったな、ぴょん吉!」

「ぴょん吉?」

「こいつの名前、ぴょん吉にします!」

「ふふ、わかった。
さ、早く中に入れ。風邪をひくぞ」

「うぃーす」



2人で家の中にあった段ボールを組みたて、中にタオルを敷き、細長く切ったニンジンをあげる



「かわいいっすね」

「そうだな。
・・そういえばうさぎは寂しいと死んでしまうとよく言うな」

「そうなんすか?
じゃあいっぱいかまってあげなくちゃね」


こうして俺たちの家に仲間が増えた。






「それじゃあ、いってきます!」


ぴょん吉を飼い始めて数日後、俺はテニス部の冬合宿のため5日間家を離れなければならなかった

柳さんは本当に動物が好きみたいで、ぴょん吉の世話を俺以上にしてくれているから心配は全くない



そして冬合宿でしっかりしごかれて家に帰ってきた日のこと




「ただいまー!」

「おかえり、赤也
お腹空いてるだろう
夕飯用意できてるぞ」

そういってぴょん吉を抱え玄関のほうにやってきた柳さん

リビングに向かえば出来立てのご飯が並んでいた


「あれ、柳さんのは?]

「俺はさっき学校でレポートを仕上げている間に食べたからあまり空いていないんだ」

「そうなんすか
じゃあ、いただきます!」

「どうぞ」

「もーほんと疲れたっす!
容赦ねぇんすよ・・・・
でも一日中テニスのことしか考えなくていいてのはすっげえ楽しかったっス!」

「そうか、それはよかったな」



合宿での出来事をご飯を食べながらあれこれと話していく
柳さんはちゃんと返事は返してくれるんだけど目線はぴょん吉に向いたまま。



「柳さーん、ちゃんと聞いてる?」

「ああ。・・ぴょん吉、お前は本当にかわいいやつだな」

「柳さんってば、」

「ああ。こらっくすぐったいぞ」

「・・・・ごちそうさま」

「ああ。ふふ、かわいいな」



返事がだんだん適当になってきたと思ったら俺のいることなんか忘れたようにぴょん吉と戯れ始めた柳さん。


俺は帰ってからまだ柳さんに頭撫でてもらってないのに。
ぎゅってして、お疲れ様って言ってもらってないのに。

ぴょん吉がさっきから全部ひとり占めして。

うさぎに嫉妬なんてバカみたいだ。
5日間テニス漬けだったのはほんとに楽しかったけど柳さんに会えないのが寂しかったのに。
そう思っていたのは俺だけだったのかな

俺は「柳さんのばか」と、小さくつぶやいて寝室に籠った







赤也がいない間、赤也の代わりにぴょん吉をなでることを日課にしていたので、もともと動物好きなことも加わってぴょん吉に構う時間が一日の中で1番の楽しみになっていた

赤也が帰ってきてご飯を食べている間も腕に抱えたぴょん吉と遊ぶことに夢中になっていた俺がふと気づいた時には、ご飯を食べる音も、赤也の話し声もしなくなっていた。


「赤也・・・?」








「っ・・ぐず、・・ぅ、ばか・・・」

寝室に入ってすぐ、ベッドに飛び込んだ。
涙というものは一度溢れはじめるとなかなか止まらないものだ。
しかもベッドには柳さんの匂いがいっぱいで余計に苦しくなった


「赤也」

「っ」


柳さんがいきなり部屋に入ってきた
そっとそばに気配を感じる



「泣いているのか?」

「・・・泣いてない」

「どこか痛いのか?合宿で怪我でもしたのか?」

「痛くないし、怪我もしてない」

「じゃあどうした?」

「・・・・しらない、ばか」



布団を鼻のあたりまで引き上げて柳さんとは反対方向を向いてそっけなく答える


「・・・ばかとはなんだ
こっちを向け、赤也」

「やだ・・っ!」

「・・・!」



俺の最後の一言が柳さんの癇に障ったみたいで無理矢理俺の体を反転させ、俺の両頬を手で挟み顔を固定すると、柳さんは驚いたようで目を見開いた


「目が真っ赤じゃないか。
本当にどうしたんだ、赤也」


そっと頭をなでながら優しく問いかけてくる柳さんのせいで驚いて止まってしまっていた涙がまた溢れてきた



「−−−−死んじゃうって言ったくせに」

「・・は?」

「寂しかったら、死んじゃうって、
柳さんが言ったのに・・・
俺、ずっと寂しかったのに、合宿の間、
でも、柳さんはぴょん吉ばっかりで、そんなこと・・」


そこまで言えばさえぎるように抱きしめられた


「そんなこと、あるわけないだろう」

「俺のことほったらかしたくせに?」

「すまない」

「・・俺帰ってきたらすぐにぎゅってしてほしかったのに」

「・・・すまない」

「・・・柳さんのばか、糸目、」

「それは関係ないだろう
・・すまない、赤也」


抱きしめたまま俺のまぶたに唇を落としてく柳さん
だんだん俺の気持ちも落ち着いてきて、顔中に降るようになったキスの嵐がくすぐったくて身を捩ると抱きしめる腕に力が篭る


「ちょ、苦しいっす・・・!」

「−−−俺だって寂しかったさ
ぴょん吉を赤也の代わりにしていたといえばお前は怒るか?」

「・・・・」

「明日は俺も休みだ。
そのためにレポートを今日仕上げたのだから。お前も合宿後で休みだろう?

今夜は、俺がお前がいなくてどれだけ寂しかったかを身をもって思い知ってもらうとしよう」

「なっ・・・おれ、合宿で疲れて・・・!」

「5日間もお前に触れられなかったのに我慢できるはずがないだろう」

「っ・・・ほんと、恥ずかしい人っスね・・!っん・・・」





そのまま柳さんの思うままに愛された俺が動けるようになったのは次の日の昼だった






「ぴょん吉〜っ!!
もふもふでかわいいー!!!
癒されるー・・・」

「赤也」

「もう、うるさいっす!
俺もぴょん吉と遊びたいんすよ」

「・・・」

「おぅわ!ちょ、」

「寂しい、構ってくれ」

「・・・はいはい」




俺たちは相手が自分だけに構ってないとダメみたいだ












お待たせしました!
思った以上に長くなった上に
柳さんキャラ違くないかwww
小説書かなさすぎて
口調がわからない\(^o^)/
ごめんなさい久しぶりがこんなので><
うさぎと赤也の関連持たせれなかったし
柳さんはどんなことしてても
赤也の話聞き漏らさねーよとか思いつつ。
自分が1番じゃないと
すねちゃうバカップル柳赤のお話。
同棲設定超うまいっす^p^
毎日毎日いちゃいちゃしてればいいよ
無自覚で幸せオーラ垂れ流し。
もはや公害。



最後までありがとうございました!


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