ノラ猫の甘やかし方 | ナノ
The First Time
ねぇ?人が人を虐める理由って何?

ダサい女の子を見て、自分がより優位に見られたいから?認められたいから?
それとも、人に馴染めないシャイな子を見てて単にウザいとか…?
もしくは、イライラしててターゲットは誰でも良かったとか?

これはただの持論だけど、正直、イジメっていうのは無くならない、と私は思う。だって人が誰かと仲良くするには話のネタが必要になるから。
暇つぶしが必要だから。
自分の方が可愛いって思ってもらいたいという承認欲求が強いから。

学校の先生が「ダメだ」「相手を思いやれ」とか説いたところで、それは空虚な言葉に過ぎない。
たとえ助けを求めても、面倒な事に関わりたくない教師は必ず助けてくれるとは限らない。
まず、先生達同士にだって人間だ。勿論イジメだってあるだろう。虐める人間が虐めを無くすって?それは矛盾してないか?と、なら無くならないと思わないか?

そう。私。神木菜々は幼い頃から異端者だった。
いや、自分ではそんな自覚は無かった。たが、他者からはそう見られていたんだろう。
独自の世界観を持っており、他の子ども達とは明らかにかけ離れた性格。周囲に馴染めなかった。いや、存在すら認めて貰えなかったんだ。

それは親ですら。
いや、親同士も仲が良くなかった。所謂、DVや、児童虐待といったもんだ。

となると恐らく想像はつくはず。そう。多くの人に嫌われた。受け入れてもらえなかったのだ。
私は直ぐにこの国が大嫌いなった。
日本人独自のこの考え形がバカバカしく思うのだ。
陰湿で、臆病な上、自己主張はタブーに値し、馬鹿な群衆の中に居ようとしないと生きていけない仲良しこよし。

何も虐めだけじゃない。政治だってそうだ。国自体が平和すぎて自分のことしか考えない政治家。平和ボケのしすぎだ。国のことなどどうでもいい、自分さえよければ満足。こんなのばっかじゃないか。
そして、私を含めて、悪くないけれど、他の国々と比べて国民には愛国心が不足している……
だから、決心した。

私も、いや、私が国を動かしてやろうじゃないか。と。

ーーーーーーーーーーー
ーーーー

午前2時頃
星が瞬く音も聞こえてきそうなほどの静寂と凛とした静けさは、星のない重たげな空全体に広がっている。

新たな拠点に移って二ヶ月ちょっと。その大して使わない広い部屋は真っ暗で、ただ唯一明かりの付いているパソコンと、テーブルスタンド。
そして、テーブルの上にはお気に入りのバターサンドといちごミルク。買いだめしてるほど大好きな私の仕事の相棒だ。

頼まれた"仕事"を早く終わらせるべく素早くテキパキとキーボードを押していく。でもちょっとやりすぎて肩が痛い。

でも・・・・

苦痛じゃない。

寧ろ、興奮にかなり近い感情が、心の層のずっと奥深いところから泉のように湧いて出てくる。

だって、機密過ぎて当局でしか知らない情報、ありすぎた仮説の中の真実……はたまた誰でも知ってるような情報……あらゆる情報を私は扱えるのだから。

アハッ……私が調べられない情報なんてあるの…?
まぁ、そんな冗談はさておき。
それでもそんな馬鹿げた疑問が心を燻り、自然と心が踊る。

苦痛なわけない。

私は情報屋"インキュバス"

誰もが私を欲しがる。そして私からは逃げられない。だからいい夢を見させてあげる代わりに大量のお金を頂く悪魔。それが私。

情報には魔力がある。
貴重であればあるほど欲しがる人は増える。そして、狂ってくる。どんな事をしてでも手に入れようとしたり、守ったりする。

「くすっ。残念だね。この情報は頂くヨ?」

ドタバタ………

騒がしい。誰か……いや、私のボディーガード兼私のお世話係がこちらに駆け足でやってきた。

「菜々様!」
「なぁに?騒々しいなぁ。あ、夜食でも作ってくれたとか?」
「違います!FBIがこの拠点を見つけたようで、こちらに向かって来てます!早く逃げる準備を!」
「あぁ。FBI……。案外遅かったね。もっと早く来ると思ってたケド。」

ゆっくりキャスター付き椅子から重たい腰を上げ、立ち上がりUSBに今までの必要はデータ全てを素早く保存した。

「……ねぇ、FBI達の集団の中に、赤井秀一はいる?」

全てのデータを消し、金髪の短髪ウィッグとサングラス。そして、帽子を被り、男装をしている隙にボディーガードに調べるよう頼む。

「えっと、赤井は、…います!赤井がいます!」

その言葉に嫌でもニヤッと口元が弧を描くのを止められない。

「そう。……なら、もう行くよ。」

目の前の飲みかけのバーボンを掴み、パソコン一帯にドバドバとかけ、ライターに火をつけたまま放つ。気休め程度に渡された拳銃でパソコンに向かって数発打ち、ボディーガードにポイっと投げた。

最近の技術は凄いからなぁー、復活されるかもしれない。でもまぁ、気休め程度にはなるかな。
その代わり、この音に気付いたFBI共が乗り込んでくるんだろうけど。

さっとボディーガードと裏口に移動し、鉄製の階段を降りる。
ガタンー! と大きな音を聞く限りあの部屋のドアを開けたんだろう。

「ねぇ、分かってると思うけど…、」
「はい。勿論分かってますよ菜々様。殺さない。ですよね」
「うん。」

走って移動をしていると足元に銃弾が掠めた。

「…まだ、まだよ。」

足元に銃弾が掠めてもまだ走り続ける。調べつくした入り組んだ特別な道に狼さんを誘い込むまで。

「…そろそろ、かな。」
「おい、そこのお兄さん……いや、"インキュバス"。もう追いかけっこはやめようじゃないか。もう我々の仲間がすぐそこまで来てるんだ。もう逃げられないぞ?」

ふっ。情報によれば赤井秀一はとっても頭が切れることで有名だったから期待してたのに……
良いのは容姿くらいか?

「えー、と?お前が赤井秀一、か?」
「ほー。俺を知ってるか?」
「まあな。だってお前有名人だからな。呼び名がいっぱいありすぎて困るんだ。なんて呼んだらいい?赤井?ライ?それともシルバーブレッド?」

一気に驚いたような顔になる。
くすっ。私が"インキュバス"だって知ってるでショ。

「では、呼ばないでもらおう。なぜなら君は、……今ここで捕まるのだから。」

赤井秀一がポケットから何かを取り出した。発信機だ。

「インキュバス。お前はもう逃げられない。」
「期待していたケド………とっても残念かな。」

私もポケットから"あるもの"を取り出した。
赤井秀一は拳銃だと思ったのだろう警戒をし始めた。
でも、違うんだなぁ。

「通信機能抑止装置。知ってるよなぁ?やっと君が僕の捜査に関与してくれたんだ僕が何も用意しないとでも思った?でも何もココだけじゃないよ?ここのストリートをみてよ。コレに似たものをいくつか設置してるんだよね。お仲間さんに居場所知らせれないね。」

ふふっ。
私の得意な作り笑い。
ねぇ、少しは私に本気をみせてよ。

「ふっ。やるなお兄さん。だが、こちらにも切り札っていうもんがあってな…?」

赤井秀一はジャケットの内ポケットから何やら黒い物体を取り出した。
僕達は少し身構える。

「…通信機能抑止対抗装置。これは簡単に言えば通信機能抑止装置を無効にするようなもんだな。FBIの技術班が特別に作ってくれたんだ。
君みたいな犯罪者が多いと困るんでね。まぁ、こんだけ周りに通信機能抑止装置があればコレも微弱かもしれんが、少しは我々を見直してくれたかな?」
「…!」

私のボディーガードに素早く合図する。

「早くアレを壊せ!」

すると期待通り僕のボディーガードは拳銃で素早く壊し、赤井秀一にも麻酔銃を撃った。
勿論防弾ジャケットを装着していることを考慮して彼の剥き出しの腕に。

「ほぉー。麻酔銃か…。何故実弾にしなかった?」

撃たれてもまだ余裕そうな顔をしているこの男。なんだか気に入らない。なんだよ?大人の男の余裕ってやつか?

即効性の薬がすぐ彼を蝕み、跪ざまずかせた。
それを確認した僕はゆっくりと彼の目前まで歩み寄った。

「例え微弱でも、こちらの居場所はバレているだろう。時間がないな。……なぁ、赤井秀一。僕の物に"も"なってよ。」
「……は?」

目が点になった赤井秀一が僕を睨みつけるように見上げてきた。

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