Zero | ナノ

仕事

私の仕事を簡単に説明しよう。……それは泥棒だ。
だが、ただの泥棒じゃない。

自分で言うのはなんだが、私はとても腕のいい泥棒なのだ。
そして、決して他人の為でなく自分の為にしか動かない。

泥棒という盗みの快楽に囚われ、そして、ある目的の為にパンドラを探している。

ーーIn Spain ーーー
(3月19日、p.m. 0:25)

今回狙っているモノは、
スペインの資産家が所有している
14カラットのred diamondのネックレス。
その貴重価値故、推定60億円は軽くするだろう。

勿論ながらセキュリティーもハイテクの最新型で苦戦はするものの、事前にチェックしていたのでそれ程苦ではない。
「まぁ。何とかなりそうね。」

エロテックな黒のレザースーツに身を包み、豪華絢爛な屋敷へ忍び込んだ。
培ってきた技術でセキュリティーを破り、ネックレスが仕舞われている場所へとたどり着いた。
もちろん盗んだ後に警報装置がなるっていうのも知っていたため、ちゃんと解除済みだ。

あえてこの日を犯行日に選んだのにはきちんと理由がある。

実は今日はスペインの三大祭の一つ、"バレンシアの火祭り"がある

このお祭りは3月15日から4日間に渡って街々の広場や通りを巨大で莫大な数の張子人形で飾り付け、最終日である3月19日の夜12時に優勝作品以外の全ての作品を焼き払ってしまうのだ。それは壮大に。

つまり私が狙っているのは"音"だ。

祭りの火とそれを楽しむ人々の声のおかげで多少の音を出しても消してくれるため、バレる可能性を最小限に抑えれる。つまり、仕事がしやすくなる。確かに、デカイ祭りであって警備は何時も以上に固くはなるが、やり易くなるのには変えられない。

「みぃーっけ♪ こんなところに押し込まれてたのね。可愛そうに。私が可愛がってあげますからねぇ〜。んぅ〜ちゅっ。」

ったく、こんなとこに使いもせず置いとくなんてコレの価値知らなさすぎっしょ。
これだからバカなご主人サマに当たるとモノも可哀想よ。

今見つかる可能性は限りなく低い。
奪ったネックレスに喜びのキスをしてから自分の胸元に押し込み、ついでに周りに置いてあった宝石も頂く。
そして持参していた黒のキャップを被って身体を窓から外に出し、何事も無かったかのように、祭りを楽しんでいる観光客に紛れこんだ。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -