Rojo | ナノ

Rojo

「んぅ………あっつ、」

あまりにも熱い体感温度で目が覚めた。
自分腕が秀の身体に巻きついて、顔も秀のお腹に引っ付いている。

そりゃ、暑いわ。
だって、こんな真夏に男女が裸でひっついてるんだもん。
そりゃ暑い。

寝起きであまり力が入らないが、身体を起こす。

「起きたか。エアコンは入ってるんだがな……もう少し下げるか。」

秀はベッドにもたれかかるようにして上半身を起こした。
既に起きていたのか、それとも私のせいで起こしたのか分からないけど
頭をひと撫でされ、まるで気にするなと言ってるみたいに頭をポンポンとしてきた。

それで私もまぁいっか。と思ってにっこりと秀に笑った。

秀が手を伸ばしてリモコンを取る。

「ねー、今何度にしてるの?」
「27.5度だな。」
「あついー!25度にして。」
「はいはい。」

秀が私の言う通り25度にしたのを確認してからガバッと彼の胸に抱きつく。

「ふっ。暑いんじゃないのか?」

少しニヤけた顔をした秀に言われた。
だから少し照れた顔で反論をする。

「うるさいー。これから寒くなるでしょ、何か文句ある?」
「くくっ。いいや無いさ。姫のお気に召すままに。」

頭から腰にかけて毛を整えるかのように撫でてくる。
何も言わなくても、ただ撫でられるこの時間が好きだ。
ゆっくりとした時間が流れているこの時間が。

何も言わなくたって秀の暖かい体温と撫で方に優しさがいっぱい詰まってるんだと心から感じれる。

「好き。」

聞こえるか聞こえないかの声でボソッと呟く。

「ふっ、珍しいな。今日は朝から甘えん坊さんか?」
「いいでしょ。別に。」

抱き締める強さを強め、ギュッと抱きしめる。

「誘ってるのか?」

嬉しそうに微笑み、私の頬にキスをしてきた。

「反応するなバカ。当たってる。」

ナニが、とは言わないが確実に大きくなってるんだが。
本当にくびれ辺りをやらしく触ってきたので、秀の手を握って抵抗を見せる。

「今起きたばっかでしょ、せっかく気持ち良くて二度寝出来そうだったのに。」
「この胸が何度も俺に触ってくれと主張してくるんだ。期待に応えたくなる。」

くくくっと笑い声を漏らし、楽しそうに私を持ち上げて跨ぐように座らさせた。

「してないし!てか発言バカでしょ。ホントに幼稚。一体何歳なのよ。」
「愛する恋人を目にすると男はいつでも思春期の中学生の頃に戻ってしまうんだよ。」

直ぐに腰を引き寄せられ、キスをされる。
ちゅっとリップ音付きの可愛いバードキス。

31歳でしょ
心の中で呟きハハ…と苦笑いを浮かべた。

「菜々…愛してる。」
「知ってる」

秀が私の胸に顔を埋める。
私は秀の頭を抱き寄せ、目を瞑った。

ーーーーが、直ぐにその時間は終わることになった。

スマホから音楽が突然なり始めたのだ。

「……今シたい。」
「出ます」

即答で秀をどかし、はいはい。それ取って。とジェスチャーを送りスマホを取らす。
不服そうな顔をしていたが、ちゃんとスマホを取ってくれた。

自分で取り行けって?
だってめんどくさいもん。

「ん。いい子いい子。」

頭をちょっとだけ撫でてあげる。
すぐに秀に背を向け、秀をソファーのようにしてもたれかかった。
すると秀も私の胸の下で腕を回し、私の肩に自身の額を置いた。

組織のメンバーからの電話の時は着信音を変えている。
だからそれを知ってる秀がこんな行動を取るのは昨日のお陰だ。
さもなければ勝手に気を遣ってベランダに煙草でも吸いに行っていただろう。

「ん、もしもし。」
『ヴェスパーね?』
「ん。そーだよ。」

電話の主はベルモットからだった。

『ごめんなさいね。起こしちゃったかしら?』
「いや、別に大丈夫だよ。それよりどーかした?」

ベルモットだとわかり、少し抜けた声で対応する。

『貴方にして欲しい仕事が出来たんだけど、受けてくれるわよね?』
「まぁー、内容によるかな。」

すると笑い声が電話の向こうから聞こえた。

これは、ベルモットのものじゃない。
………あいつか。

『菜々への仕事は女子高生に戻ることだってさー!可哀想だね!だけどあたいもあんたの制服姿見たいから練習ついでに射撃場にでも見せにきてくれよなー!!』

やっぱり。キャンティか
彼女は左目周りにアゲハチョウをあしらったタトゥーを入れている組織でも名高いスナイパーだ。

キャンティの女子高生発言に後ろで秀が顔を上げ、驚いた顔をしている。

いや、びっくりしてんのは私だから。

にしても、

「一体どうゆうこと?ベルモット。キャンティの言ってることだけじゃあよく話が繋がらないんですけど?女子高生に戻るって、は?」

電話の向こうでちょっと変わって!って言うベルモットの声が聞こえる。

『私、諸事情でこれから少しの間だけど帝丹高校に潜る事にしたのよ。だから貴方はその助手ね。』
「ねぇ。それってさ、制服着なきゃダメなの?ほら、非常勤講師とか、誰かに化けるとか、色々あるじゃん。」

なんか一応アメリカの大学を卒業してる身としては、高校に戻るとか、制服を着るとか、…妙にコスプレ感が否めなくて拒否反応が凄い。

『あのねー菜々。貴女一応18歳ね。どこに18歳の先生がいると思ってんのよ。ココは日本よ。それに毎日朝早くから変装させるのは大変なの。だから転校が手っ取り早いのよ。分かったわね?』
「年齢偽造すればいいじゃん。」

ボソッと呟く。

『分かったわね?』
「…分かった。」
『大丈夫さ!もし菜々の事少しでも悪く言う奴がいたらあたいがこのレミトンでそいつの頭ブッ放してやるからさっ!』

きっと無理矢理ベルモットのスマホを奪ったであろうキャンティのきゃっきゃっしている声が聞こえる。

それは本当にやめて……。
ついため息が出そうになった。

『キャンティ!ほら返して。なら詳しいことは後で話すわ。じゃあ後でね。』

切られた電話。
そして、

「俺も制服姿見たい。」

背後で嬉しそうな声が聞こえた。

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