Rojo | ナノ

Rojo

「ごめん志保!遅れちゃった」
「…貴女……何その格好…」
「あ、やっぱそれ思う?」

志保が驚くのも無理ない。
なんたって自慢の赤毛ロングを隠す為に茶髪のショートのウィッグを被り、さらに銀のフレーム無しメガネを装着してしてるのだから。

まぁ、私服は変わらずベルモットが買ってくれた服に変わりないんだけどさ。

「もう。来る前に言っといて欲しかったわ。誰かと思ったじゃない。」
「ごめんごめん。だって米花町(ココらへん)って昔私が住んでた場所だったから知り合いに会ったら困るのよ」
「へぇ、そうなの。でも…貴女そんな事私の前で言っていいのかしら?」

志保はニヤッとまるで組織の人間らしい顔で私の事を見た。

「ええ。もちろん。それに私も誰にだって言う訳じゃないわよ?志保だから言ってるの。貴女が私を売るって?そんなのあり得ないわ。だって、……志保は私の親友なのでしょ?志保が思ってるより私、貴女の事信頼してるんだけど?」

私はしてやったりと勝ち誇ったような顔で志保を見た。
すると予想外の私の答えに、志保の顔は真っ赤に染まった。

「な、なにいってるのよ!馬鹿じゃないの。組織の人間である私を信用してるなんて。!」
「はいはい。照れながら怒鳴られても怖くないから。さっさと調査して帰ろ。」
「〜〜〜っー!!………そうよね、貴女ってそういう人だわ。でも、私だって貴女のこと信頼してるんだから。」

え?志保?
最後に少し小さな声で呟かれた言葉に驚きパッと志保の顔を見ようとすと、"な、何してるのよ。さっさと行くわよ!"と言って私より少し前を歩き始めた。

……ヤバイ。ツンデレ志保ちゃんのご登場だ。超かわいいだけど
ツンデレ最高。

ーーーーーー

「ホコリだらけで誰かが住んでるっていう形跡はないわね。そろそろ帰りましょう。……菜々?」
「…ぇ?あ、うん。そ、だね。帰ろっか。」

本当に私から見ても新一が何処かに出掛けてる、っていうより人自体が住んでる形跡すらなさそうだ。

新一、やっぱり、貴方

溢れ出る感情が湧いてきて、…零れそう。
でも志保がいるから流石に泣けは出来ないけど笑顔でいれる自信はない。
志保が前を向いている隙に上を向いて涙が溢れないように調節をする。

私って結局誰も守れない。
守る。守る。ってバカみたいに思ってても結局なんにも出来てないじゃん。
新一を巻き込まないように別れたのに、現に新一は組織に殺された可能性の方が高い。

工藤家を出て暫く道を歩いていると

「菜々?さっきから元気なさそうだけど…もしかして、貴女、工藤新一の知り合いだった?」

ドキリと心臓が強く打った気がした。その後も規則的にいつもより早いペースで心臓の鼓動してる、

「ちが…」
「菜々、やっぱり今の質問無かったことにしてくれるかしら?」
「え?」

志保の言った意味がよく分からなかった。

「私は菜々に聞くべきでない事を聞いてしまったわ。だから貴女は答える必要はない。プライバシーが無かったね。」
「…ありがと」

志保の気遣いは非常にありがたかった。
もちろん、志保が私の不利になるようなことをする子じゃないのは分かっているが、今この場で言うのは得策ではない。


「でも……ここからは友達として聞くけれど、貴女、今朝の電話で私のこと"シェリー"って呼んでたけど一体誰といたのよ?」
「へっ?」

急に不機嫌そうな顔になり、私の方へ体をグイッと乗り出してきた。

「馬鹿ね。貴女は人前で私の事を"志保"って呼ばないでしょ。ったく夜遊びも程々にしなさいよ」

志保が呆れたようなジト目でみてくる。

「なっ!違うもん!」

ホントは違わないけど!否定できないけど!なんか言い方がヤダ!

「まぁ、いいんじゃない?貴女の事に口出しは出来ないし。若い内に沢山経験をするっていうのも。」
「って…志保も十分若いんだけど。…………ってわっ!」

突然携帯電話が振動して飛び上がった。発信元は…………ライだ!
そうか。そういや朝新一ん家に行く前に番号あげたんだっけ。

「あぁ例の彼ね。早く出てあげなさい」
「なっ、なんで分かっ…」
「早く。切れちゃうわよ。」

え?マジでなんで分かったの?
そんな疑問を抱きながら《応答》をタップした。

「俺だ。…いきなりだが、今から会えるか?」
「どうしたの?」
「いや、対した事じゃないが……お前が朝から…いや、電話の後から元気なさげだったからな。今どこだ?」

覚えててくれたんだ……でも

「えっと、実は今から組織の研究室に戻らなくちゃいけないから、8時くらいからなら会えると思うよ。」

出来るだけAPTX4869の作用・副作用を調べとかなきゃ。

「そうか。ならあとで連絡をくれ。迎えに行こう。」
「ありがと。じゃ、後で」

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