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Rojo

興味本位で覗いて見るとライだと直ぐに分かった。
だって全身黒ずくめで長髪な上に美形って目立ちすぎるじゃん。

あの日の事もあってかなんとなく決まり悪かったので、顔を見られないようにサッと隠れた。

てかなんでライがカフェなんてオシャンティーな場所にいるのよ!?
絶対興味ないでしょ。

でも、私が気になったのは隣にいる美人な外国人女性の方だった。
あー、なんだ。やっぱ美人な恋人いるんじゃん。
って別に、……何か期待とかしてた訳じゃないし、ましてや好きとか言われた訳でもないけど、

けど。なんか無性に泣きたくなるような疎外感に襲われた。

だけどそれ以上に私は彼を組織の男という理由で利用しようとしたくせに、セックスをした後から妙に魅力を感じていることに関しても都合よすぎる自分にイラついた。

杳くんは彼らを私とは離れたナイスな場所に案内してるみたいだ。
まぁ。いい。どうせ彼は私の事なんか気付いてないんだ。
このままバレずにいたらいい。どうせ直ぐ帰るんだから。
そう高を括っていた。

「あっ、"菜々さん"。さっきの続きなんですけど…」

ちょっ!!?今そんな大きな声で名前なんか呼んだらバレちゃうじゃない。
確かに杳くんは何も悪くない。悪くないんだけどさ!
私のさっきの安心感を返してくれ。

いや、待て、自分落ち着け!菜々なんて名前そんなに珍しくはない……はず!

もはや本能的にチラッとライの方を見た。
運命といえば運命。
だが運が非常に悪過ぎた。つまりバッチリ目があってしまったのだ。

「菜々…?」

その低く呟かれた言葉に心臓が強く摘ままれたような気に陥る。
すると、こともあろうかライは美人な外国人女を残し1人スタスタとこちらに歩いてきたではないか。

「ちょっ、…」

なんか来た!

どういう判断が正しいのか咄嗟に答えが見つからずフリーズしている間に彼は私の目の前にドンドン近づいてくる。

「う、嘘でしょ。」

確かに今朝テレビで見た〈今日の占い〉は最下位だった。
でも、興味本位で見ているだけのそんなものは信じてなくてラッキーアイテムなんか持ち合わせていない。

急な選択を迫られた私は堪らず立ち上がり、急いで元々用意をしていた勘定を机の上に叩きつけ逃げるようにして店を出た。

「え?……!菜々さん!?」

と杳くんの焦りと困惑したような声に目もくれずに逃げ出そうとした。

が、
ーーーパシッ

「……待て。」

どうやら本当に運は回ってこないらしい。
腕を掴まれたと思うとそのままの勢いでさっき私が隠れていた出っ張りのある壁に押し付けられた。
………両手首は頭の上に固定され、
これでもかと、両脚にはライの脚が捻じ込まれ完全に逃げられなくなってしまった。

「ちょっと、ココ一応お店なんですけど!」
「あぁ。見れば分かる」
「じゃなくて。話があるなら普通の格好でいいでしょ!?」
「だが、こうでもしないとお前はすぐ逃げそうだからな。」

ライから頑張って目を逸らそうとしても、こいつが目を合わせようとしてくる。

なんだよ?こんな格好で目と目合わせるとか。イジメか?
恥ずかしさ我慢大会なのか?
子犬の如く大型犬に唸る図柄じゃないの。

「ちょっと、シュ…」
「ジョディ。暫く黙っていてくれ。」
「黙ってくれって、だって貴方いきなりその女性に失礼じゃない!?いきなりそんな、」

私を庇おうと?してくれているのか後ろであの女性がライに抗議し始める。
ま、本当はあの女性がただヤキモチを焼いているだけだとは思うけど。

「そうです!早く菜々さんからどいて下さい!それにまだ菜々さんはお昼ご飯を食べてないんです!」

杳くんも頑張って吠えてくれている。あ、いや、抗議してくれている。

「……店員が言うなら仕方ないな。菜々、場所を変えるぞ。」
「は?え?……ってちょっ。」

ライが納得して離してくれたと思いきやつかの間の一息なだけでスグに手を引かれた。

「ちょっと!あなた達何処に行くつもりなの?!」
「あぁ。お前は……こいつが頼んでいた注文でも食べとけばいい。」
「そうじゃなくて!」
「そうだ。ジェイムズに伝えておけ俺は今日は抜けると。じゃあな。」

「まっ、待ってください!菜々さんが嫌がってるじゃないですか!今すぐその手を離してあげて下さい。」
「君は?」
「菜々さんは僕の大事な、大事な………お客さんですから!」

杳くん、なんか可哀想な事させちゃった。
彼の心情に気付いている私は心の中で呟くしかなかった。

「悪いが今日は菜々を別の店に連れて行くよ。彼女とは大事な話があるからね。」

そう言ったかと思うと杳くんが反論する前に私の腕を掴み店を出た。
直ぐ正面には黒のシボレーが私達を待ち構えていたかのように停められており、私の中の緊張感が強まったかのようにも感じた。
助手席まで連れて行かれ、乗るように急かされる。

「、私には拒否権がないワケ?」
「あぁ。だから乗ってくれ。」
「な!嫌よ。何処に連れて行かれるかも分からないのに乗る馬鹿がどこにいるのよ。」
「じゃあ、…行き先はサプライズで俺の為に乗ってくれ」

俺の為に乗れって、私がどれだけその言葉の魔力に惹かれるか知らないくせに。
不貞腐れた様などこか諦めの付いた様な顔をわざとして隣の席に座ってあげた。
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