Rojo | ナノ

Rojo

…ん?なんか。……重い?

覚醒しきってない頭の中でそんな言葉が生まれた。
一体何がそんなにも重たいのか?それを確かめる為に重たい瞼をゆっくりと開ける。

……くちびる、だ。……ん?ッ唇!?

いつもとは違う風景に目を見開くと頭が完全に覚醒した。

重たいモノの正体は……この男ーライーの腕だったのだ。それも寝たまま私の胸を包むようにして。
その事実に妙に現実感を突き付けらたように感じた。
まるで、シンデレラの魔法が解けたみたいに。
ゆっくりと腕をどけ、上半身を起こす。

「はぁ。何やってんの自分。」

横の台の上に置いていたスマホに手を伸ばし、時間を確認する。

11時35分。

…よくもまぁ、長く寝たな、
あの後続けて2回もしたのを、そばに置いてあったゴミ箱で思い出す。お陰で妙な気怠さにも合点がいく

激しいセックスをした感触が、下半身にかすかに残っている。少し意識を持っていっただけですぐ思い出せた。まさに身体の奥までひっかきまわされたような甘いだるさを感じるからだ。

…マジかぁ。てか何流されてんだ、私。
思わず溜息がでた。
ふと気になって横にチラリと目を向ける。思わずつい目がいってしまうほど鍛えられた筋肉と容姿端麗な顔立ち。
だがそこには疲れているのか濃い隈がくっきりと刻まれている。
そして彼の印象を深く植え付ける様に存在する長い黒髪。全てが、この男をミステリアスに創り上げており、私を惹きつけた。

急に触れたい。という欲求が頭を支配し、手をライの黒髪へと伸ばした。

わっ。すっごくサラサラだ。一本一本が絹糸みたい。
腰まで髪の毛が長いくせに一体どこのシャンプー使ったらこんなに綺麗になれるの?
人の髪を撫でて気持ちいいって感じるのは初めてで。
飽きずに触っていた。

「…人の髪の毛触って楽しいか?」
「っえ?!貴方起きてたの!?」

まさか起きているとは思わ無かったので、慌てて手を頭からどかした。が、どかした腕を逆に掴まれ、ベッドの上に固定されてしまった。

「…朝からいい眺めだな。」

そしてそのまま首筋にキスをされた。
「ちょっ、なっ!朝から盛るなっ!」

そんなに強く固定されていたわけでは無いので簡単に逃げられた。
そしてベッドの上から降りて服を素早く身に付ける。

「では、私もう行きますから。ゆっくりしていったらいかがです?」
「…おい。敬語に戻ってるぞ。」
「ハハ。ライには一生敬語でもいいんじゃないかと思いまして。」

荷物等を手に取り、ドアの方へ向かおうとすると

「まて、これが俺の連絡先だ。いつでもかけてきて構わない。」

あ、下にちゃんとズボンを着てたのか。パンツ一丁なら笑えたのに。

「いりませんから!」
「遠慮するな。…ほら、」

せっかく拒否ったのに、ライは私の掌に無理矢理連絡先を握りしめさせた。もう。貰っちゃたんだけど。知らないから。

「じゃあ失礼します、」

ホテルの料金はジンが持ってくれるから別に対したことはないんだけど、ないんだけどさ!
道を歩くたびに思い起こされるのは昨日のこと。

あ"〜!!なんで私は初対面の人とヤっちゃってんの!?
馬鹿じゃないの!?

彼の反応からして初対面ではないんだろうけどさ、
思い出せないなら初対面と一緒なんだよ。
どんなに悔いても終わった事は終わった事。でも思い出す度に溜息が出るようだった。

前にベルモットに言われたことがあるけど、私ってプライベートと仕事だと二重人格みたいに性格が変わっちゃうんだよね。そんなに大きくじゃないんだけど、
仕事用だと、どこか気持ち的にも大胆になれる、というか。

もう流されない。プライベートまで流されたくない。

固い決意を改めて確認した。

ぼーと考えながら歩いていからか、すぐには私の名を呼ぶ声に気付かなかった。

「菜々!」
「っふぁい!」

とんっ!といきなり肩に手を置かれ振り返るとそこには、ベルモットがいた。

「っえ!?ベルモット!?なんでここに、」
すると呆れたような顔で

「ショッピングよショッピング。もう12時近くなんだし、私だって出掛けるわ。……て言うか貴女。昨日と同じ服じゃない。それに、」
「それに?」
「いえ。なんでもないわ。だから、貴女こそなんで朝帰り……いや、昼帰りなんかしてるのよ?ばればれよ。」

ちょっと、周りに人がいるのに普通の声でそんな事言わないでぇ!

「ちょっ、真っ正面に朝帰りなんて言わないでよ。恥ずかしいでしょ!」
「だから昼帰りね。…いいわ。送ってあげる。私も丁度、いいもの買えたし。」
「ほんと?ベルモットありがと……でもまさかV-ROD?」
「まさか。車よ。レンタルしたの。」

バットなのかナイスなのかよく分からないけど、送ってもらえるならいいや。
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