ライを先ほど使っていた部屋に連れてきた。
どうせ男をCIAに引き渡したら私がそのまま使う予定だったし、
男は仕事の早いCIAの職員に引き渡たされているだろう。
私はライにキスをしながらベッドの上まで誘導し、ライの両肩を軽く押してベッドに倒した。
間もつかないうちに私自身も妖艶な笑みを浮かべながらその上に跨る。
「ライっ…。」
名前を呼びながら再度ライに口付けを落としながら左手でライの着ていた黒シャツのボタンを数個外していた。
気のせいかもしれないが、この男…何処かで会った気がする。
全く思い出せないが、
ずっと前に、何処かで……。
ーーー任務の為なら手段を選ばない。
CIAの諜報員になる上で"アメリカ"という国と、自分の自己満足の為に誓った。
私自身も幹部だが、私の何倍も上に存在する幹部。ライ。
この人を捕獲できたら、今の現実を少しは改善出来るかもしれない。
そのためにこんな男に脚を開くのも
厭わない。
なのに、聞こえてきた声は、
甘い言葉なのだけれど、
それとは違った何処か意味を含んだ言葉だった。
「イイ女になったな。」
そう確かに聞こえた。
戸惑いと恐怖が突如溢れ、反射的にライの上から、ベッドの上からすぐさまどいた。
「……やっぱり、ライ、私どっかで、貴方と会ったことがある。わ、私を、知っているの?」
声が震える。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
やっぱり私のことを知ってる人がココにいる。組織に私がCIAの犬ってバレたら?
怖かった。どうしたらいいか全く分からない。
私は、殺されるの?
お父さんとお母さんみたいに?
何も、誰にも貢献出来ないまま?
死ぬの?
衣類が少し乱れたライがそのままベットから降りてゆっくりとこちらに近づいてくる。
私も無意識に一歩ずつ後ろに下がる。
でも、足は震えるし、後ろにもスペースの限界がある。
ついにドンっと壁にぶつかり、
足は力が抜け、音もなくしゃがみ込んだ。
だがそのままライも私と同じ目線になったかと思えば、私の頬に手を伸ばしてきた。
ライの手が静かに私に触れる。
ビクッ!
「悪かった。怖がらせて、そんなに怯えるとは思わなかったんだ。……安心しろ。俺はお前を殺したりしない。」
それって、どういう意味。
「……殺したりはしないけど、拷問にはかけるということ……ですか?」
震える声でライに尋ねる。
だが、返ってきたのは強い抱擁だった。
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