Rojo | ナノ

Rojo

「コードネーム、"アドニス"を204号室に寝かしてあります。ドアは完全に閉まり切ってないので大丈夫です。はい。後は宜しくお願いします。」

女子トイレの中で上司に連絡をする。
勿論。逆探知されない携帯だし、盗聴防止道具を身につけてから。

"アドニス"に話し掛けて1時間ほど経った頃だろうか、元組織の人間だとは思えないほど簡単に心を開いてくれた。なんと
「今夜は貴女と一緒にいたい」
とまで言われるくらいには。
まぁ、彼が言わなかった場合は私が言っていたんだけどね。

元々そのために予約していた部屋に彼を連れて行き、さりげなく彼に強力で即効性の睡眠薬を飲ませたという訳だ。

さぁ。今日の私の任務は終わった。"アドニス"もそろそろCIAの仲間に引き取られた頃だろうと思い、女子トイレを出てホテルの部屋に戻ろうとした。

だが、簡単には行かなかった。

「ヴェスパー。だな?」

壁にもたれて腕を組んでいる長髪男が私を呼び止めた。

……誰?

厄介事には巻き込まれたくない。
そう思って無視してさっさと行ってしまおうと足を進めた

グイッ―――。

思いっきり手を引かれた。
私はドレス。当然ながら靴はハイヒール。いきなり引っ張られると重心が変わってしまい
男にもたれ掛かるように倒れた。

男はそれだけでは終わらず、抱きとめた私の体を壁に押し付けた。

「無視とはひどいな」
「……あなたの方がひどいわ。いきなり壁に押し付けるなんて。それに、確かに見た目は外国人っぽいって良く言われますけど、名前はそこまで外国人っぽくないので人違いですよ。」

離してと言おうとしたら、顔が耳元に近づいてきて何かを囁かれた。

「最近、組織の幹部たちが殺されているんだ。遺体は見つかっていない。だが、書類上は死んでいる。……この意味が分かるかな?」

ドキッと心臓が強く音を打つ。
背中に嫌な汗がつたい、喉がヒューと音を立てる。
急に喉が渇きはじめた。

自分のやって来たことが発覚してしまえば、殺される。
組織の掟は
“疑わしきものは罰せよ”。だから。

「…貴方の名前は?」
「"ライ"と言えば分かるかな?」

……ライ!

組織のキャンティやコルンを凌ぐ非常に優れたスナイパーであり、700ヤード先にも正確に撃ち抜くことのできるできる優れ者。
そしてとてつもない切れ者で有名だ。

話に良く出てくる有名人がこの人だったとは。
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