怜奈さんにアドバイスを貰って2日後、ようやく自分にも覚悟というものが出来た。
きっと早ければ早いほど自分にとっていい。
Prrrr…
「……もしもし、新一?」
「菜々か!どうかしたか?」
純粋に連絡があって嬉しそうな声。
罪悪感しか溢れてこない。でも、
…言わなきゃ。
「あのね、」
「おう?」
「ずっと、言いたい事があったの、でも、切り出し方がわかんなくて。」
「どうした?」
心臓が早く、強く脈打つ感覚が体を奮い立たすようだ。
「ごめん。新一……別れて。」
その言葉を吐いた瞬間、一瞬で周りの音全てが消えた様な気がした。
「…お、おめー、いきなり何言って、」
「新一。…お願い、別れて下さい。」
新一の声が珍しく震えていた。
「悪い冗談はやめてくれ。俺は、俺は!お前が好きだ!大好きだ!一生嫌いになんてなれない。お前を守るって決めてるんだ……だからそんな事言わないでくれよ。」
無言が2人を包み込む。
「なぁ、菜々、俺はお前に何かしちまったか?」
してないよ。してない。
新一は何も一切悪くない。
それでも、私は、貴方を護る為にウソをつかなきゃいけないの。
「こんな事、ホントは言いたくないんだけど……もう飽きたの。毎日会えないし、たとえ会っても刺激が少なすぎて全然満たされない。新一といても楽しくないのっ!」
くッという歯をくいしばる音も聞こえた。
「なら、頑張って直すから!……だから、頼む、別れるなんて言わないでくれ。」
ごめんなさい。
「…さよなら。」
「!あっ!まって…」
最後の言葉を聞かずに通話を切った。
あんなに好きだったのに、そんな気持ちまるで初めっからなかったかの様に
何故か他人事みたいに頭がぼーっとしたまま。
ただ、恋だけが抉り取られてしまって虚しさと寂しさが残ったかんじ。
……悲しい筈なのに、全く涙が出てこない
ははっ。あたしってホント最低。
こんな時なのに乾いたような自笑しか出てこなかった。
その後すぐに携帯のナンバーをかえ、住んでいたところを離れ、
全ての痕跡を消した。
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