Rojo | ナノ

Rojo

あれから新一は夜の10時のフライトに間に合うように、
一緒に空港に向かった。

私もよく海外行き来はしてたので大変さは良く分かる。
飛行機に乗るまでに、
搭乗手続き、保安検査、税関、出国審査など色々と審査があり空港によって複雑な場合もあり時間がとてもかかるのだ。

久々に会ったのに、私達に与えられた時間はあっという間だった。

正直、もう処女を卒業出来るんじゃないかと期待もしていたが、
結局出来ずじまいになってしまった。

……あれ?私達はいつになったらヤレるのかな?新一さん。

そう目の前を歩く新一の後ろ姿に心の中で問い掛けた。

海外はやはりあらゆる面において早い。それは、恋愛面においてもアメリカではキスとか体の関係は別としてデート・お付き合いは小さい時からするので、高校生・大学生になった時はかなり大人なお付き合いをするのだ。

だから、私の周りの友達が多少なりとも羨ましかったりもする。
次に会った時に何かアクションでも起きたらイイのにと思った。

***
Prrrr…

ん?誰だろ?そう思いスマホの画面を覗くと「教授」と書かれてあった。

「…ん、神崎ですけど、なんです?」
「……お前やっぱ俺の事教授扱いしてねぇだろ?」

教授の疑いのかかった声色がなんとも弱々しさを感じさせた。

「ははっ、失礼な。してるじゃない。ただ、教授って言うより友達って方がニュアンス的には合ってそうだけどね。」
「……それしてるって言わねぇし、」

教授は諦めがかかったような声で答えた

「んで?どうしたんです?」
「あ、いや、面接明日だなって思ってさ。準備できてっかな?って思って。」
「……。へえ、心配してくれたんだ。」
「当たり前だ。俺はいつでも神崎を心配してんの。あ!勿論教授としてじゃなくて、人としてな!」

"いつでも"って言葉が何処かストーカー気味てるけど、やっぱりこの人いい性格してる。

「ん、準備は大丈夫よ。ドレスも決めたし、面接で何か質問されても答える事とか考えたし。」
「いや、持ち物とかもだけど、神崎の心の準備はどうなんだよ?結構緊張してんじゃねぇのか?」
「……そりゃ、するでしょ。でも、してても仕方ないし、やれる事はやれるだけやろうって決めてるから。」

「そっか、だよな。じゃあ、ケーキ買って待っててやるよ!……あ!それよりお前!ドレスアップ写真忘れんなよ!」
「うるさい。変態。……ケーキはホールね。」
「ああ、安かったらな!」

そう言って電話を切った。

さっきまで馬鹿みたいに緊張して、実は足も小刻みに震えてたのに、
教授のお陰で多少は癒されたかも。

……仕方ない写真、おくってやるか。

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