「菜々。今日ここに泊まるよな?」
ニコッと有無を言わせないような顔で新一が言ってきた。
「えっ……と。ちょっと無理かなぁ?だって明日の服も下着も持ってきてないんだもん。」
苦笑をしながらやんわり断った。
「下着なら俺が何処かで買ってきてやるし、服なら明日母さんに持ってきて貰えばいいだろ?な?」
そう言ってきた。が、
「もう流石にこれから買い行くのは危ないし今日はやめとくね。」
実際のところ新一とはまだ体の関係というものがない。
要求されても勿論イヤじゃないし、むしろ求められるのは嬉しい。
でも、私にとってこのシングルベッド一つしかないこの部屋でただ一緒に寝るのはめちゃくちゃ恥ずかしい行為なのだ。
ごめんごめん。と新一の頭を撫でた。
ふふっ。不貞腐れた顔も可愛い。
突然私に撫でられていた新一は一つの疑問を私に投げかけた。
「なぁ、菜々。オメー、一体何を持って来たんだ?」
新一は、大きな紙袋を指で差しながら尋ねてきた。
「えっ?あ、これ?実は私もよく分かんないの。ここまで有希ちゃんの車で連れてきてもらったんだけど、降りる時に渡されちゃって。有希ちゃんいわく『これは新ちゃんと一緒にみてね?絶対菜々ちゃん1人だけでみちゃダメよ?』って言われたからまだ中身見てないんだよね。」
「ふぅん。じゃあ一緒に見てみるか。」
両手持ち部分に可愛いらしいリボンで封をされていたので
リボンを解いた。
「…え。」
うっそ。有希ちゃんマジで?
なんと、袋の中身は下着類と明日の服及び洗顔類など、今まさに必要としているものばかりだった。
あぁ、なんで私は有希ちゃんの言いつけを守ったりしたのだろうか。
もっと冷静に考えれば分かったのに。どれだけ自分が新一と会える事に浮かれていたかが伺え、はぁ、とため息をついた。
それらを共にみた新一は私を後ろから抱きしめ耳元で甘く囁いた。
「……泊まるよな?」
「……そうだね。」
その返事にこの上なく満足した新一は嬉しそうに私の頬にキスを落とした。
……私、心臓もつかな?
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