Prrrr…
…ピッ!
「はいはーい!工藤有希子ですっ!」
「あ!菜々です!お久しぶりです!」
「いやぁん菜々ちゃん!久しぶりね、元気だった?それより、菜々ちゃんから電話なんて嬉しいわ!何の用かしら?」
「えっと、実は……」
***
「という訳でドレスが必要なんですけど、一緒に選んでくれませんか?」
「勿論よ!なんと言っても、お店が"Phantasm"だし、大切な面接だものね!ちゃんとしたものにしなくっちゃ!あっ!ドレスだけじゃなくて、髪と肌もお手入れが必要ね。」
電話の向こうでひどく興奮している様子の有希ちゃん。
「じゃあ明後日菜々ちゃんを迎えに行くから待っててね!」
「はい。了解です。」
***
2日後ーーー。
有希ちゃんオススメの"超"高級な店に来ましたよ。
そうなるとは思ってたよ?
思ってたけど、案の定。着せ替え人形になっちゃってます。
「きゃあ〜菜々ちゃん可愛いすぎ!あっ!これも着てみて?」
「え?でもちょっと派手過ぎません?」
今着せられてるのは鮮やかな赤を基調としたふんわりなイメージである可愛いらしいドレス。
そして次に見せられたのは黄色いミニドレス。
全て派手で統一かいな。
「じゃあ!他のお店も見てまわりましょっか!焦ることはないわ。時間はたっぷりあるもの!」
それから3軒ほど店を回ったときだった。
「きゃあーー!!菜々ちゃん!!可愛いぃ〜!!!まるでお姫様みたい!」
どんなドレスより心を惹きつけ着てみたいと強く思ったのは、エメラルドグリーンのすらっとしたロングドレス。
銀の刺繍をあしらったまさに女帝の様なデザインのドレスだった。
「有希ちゃん……これすっごく綺麗。これがイイ!」
「ええ!私もそう思うわ!!コレにしましょう!」
有希ちゃんの賛成もあり、このドレスを購入しようとすると
「あ!待って菜々ちゃん!私がそのドレスを買うわ!」
「え、悪いです!」
「優作と私からのプレゼントよ!遠慮しないで?」
こんな華やかなお店が絶対安いワケないのに。
申し訳なさでしゅんっとしていると、有希ちゃんは
「じゃあ!菜々ちゃん!私のお願い聞いてくれる?」
ニヤリと企みを含んだ様な顔と声で
聞いてきた。
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