Prrrr…
発信者をみると、
意外な事に仲の良い大学教授からだった。
「はい?神崎菜々です。」
「あ?神崎?俺だけど?」
「………オレオレ詐欺ですか?」
「違うわ!スマホの画面で俺の名前みたんじゃないのか!?」
「ちょっとからかっただけじゃん。いちいちムキになんないでよ。うるさいなぁ。」
大声を出した教授がうるさ過ぎて、一旦携帯を耳から離した。
「……なんか、お前今日機嫌悪いな。折角イイ話があんのによぉ!」
「こんだけ課題やテストが有れば誰だって機嫌悪くなるわよ。…特に出した本人の声を聞いてしまうとか最悪。」
「…神崎……。俺さ、一応お前の教授なんだけど、」
「いや、知ってるから。それよりイイ話ってなに?」
「冷たっ!お前冷たい人間にはなるなよ。」
「……で、何?」
「実はな、聞いて驚け!」
私にとって教授は新一の次に信頼出来る人だ。
優しく、そして誰よりも私を理解しようとしてくれる姿に、
つい自分の重荷を軽くしたくて、私の目指す進路を話してしまっていた。
つまり私の秘密を知る1人。
「CIAの面接!?それホント!?」
「ああ!俺の友達が実はCIAのお偉いさんだったんだわ。こないだ初めて知ったんだよ。」
「いや、自分の友達くらい把握しておきなさいよ、へぇー長官だったの?」
ちょっとテキトーな気持ちで呟いてみた。
「……いや?そこまで高くはねぇーぞ?」
「いや、よく分かんないから。じゃあ……副長官とか?ハハなわけないよねー」
「…………。」
「………え?」
ゲーム感覚で言ってみただけなんですけど、
は?………は?
「ウソでしょ!なんでそんな方と友達なの!?」
「……だって友達だったんだもん。」
額に手を当て、項垂れた。
……そうだ。教授ってこういう人だ。
誰でも引き寄せてしまう魅力がある。
だから私も惹かれてしまったというか。あ!勿論、人としてという意味だけど、
「でもな!神崎!たとえ俺の可愛い生徒だからっていって奴がCIAにしてくれるっていう保証はねぇからな!ただその歳で大学卒業目前っていうのに興味があったらしくて、」
「分かってるよ。コレは私の実力次第だし、そんな簡単な理由で決められたくないしね、」
「……だよな。良かった!じゃあ、一ヶ月後に来てくれってさ。」
「あのさ、行くしかないって分かってるけど、けどね、ロサンゼルスからバージニア州まで飛ぶんだよね……真反対すぎて遠い。」
はぁ、とため息をつく。
「あ!ごめんごめん!言い忘れるところだった!場所はロサンゼルスの"Phantasm"に4時だよ。」
「え!?マジ?"Phantasm"でするの!?」
超高級レストランじゃん!
しかもそこらへんの名の知れた社長さんでも、手が出しにくい位の高級店だ。
「ああ!ちゃんとしたドレスを着て行けよ!」
「そりゃね、買わなきゃなぁ。」
「……着たら送ってな。画像」
「……じゃあね。ありがと。」
ぷちっと教授との電話を切った。
そして、面接の事を考え、ドレスに関してはあの人に相談だな。
そう決めてある人に電話を掛けた。
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