"暗夜に霜が降る如く"ーーー
突如聞かされた言葉。
初めて聞く言葉……
「暗い夜に霜が静かに降るようにそっと、獲物も、周囲も、自分すら気づかない程静かに引き金を引けという事だ。つまり、冷静沈着に、かつ繊細に撃つことが求められる。今のお前にピッタリな言葉じゃないか。」
まぁ、そうね。
「いかなる時も冷静沈着に。
まるでシャーロック・ホームズね。」
何時も新一に聞かされたシャーロック・ホームズ。
新一に飽きるほど勧められて数冊読まされたのを覚えてる。
殆どホームズを読んでなくても、新一のオタク気質のせい……いや、おかげで詳しくなれたし、知識も増えた。
なんだかんだ言ってホームズって凄いのよね。
まぁ、実在すればの話だけど。
……てか冷静に考えてみれば、今のこの状況って……。
いろいろとマズくないか?
だってさ、この男私の上に覆い被さってる、んですけど、
浮気という文字がふっと浮かんだ。
「……男がいるのか?」
「っえ?!……何で?」
私声出してないよ!
そこまでマヌケじゃない。
「いや、ちょっとした好奇心だったのだが、図星か?」
「…………秘密です。」
「そうか。」
多分いるってバレたわ。
浮気はしない。
しないから、
名前だけじゃなくて、
もうちょっと、ほんのちょっとでいいから……この人の事が知りたくなったていうのもダメかな。
ーーーー
男がいるのか?
自分でも馬鹿げたことを聞いたと思った。
相手は何歳か知らないが、確実に年下。……顔と雰囲気からして高校生くらいか?
「何歳なんだ?」
「……14です、」
真純と同じじゃないか。
洗練された……というか、大人びてる。
年齢を聞いても嘘なんじゃないかと思うほど、立派な1人の女だった。
にしても何故こんなにも真純とは違うのか分からない。
……いや、真純がおかしいのか?
よりによってこんな……名前も知らん、ましては14の子を気になるとは。
あきれ返ってなんもいえん。
ロリコンと言われても仕方ない気もする。
だが、………息を呑むほどに美しい彼女に男がいないはずがないと推理した俺は、
なんとなく苦しいような、
さみしいような感情に襲われた。
さらに年数が経ち、成長した彼女を見てみたいと強く思った。
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