Rojo | ナノ

Rojo

Prrrr....
スマホの音がなる。
発信者は新一だ。

「菜々か?俺だけど、菜々が言ったとおり蘭達が色々聞いてきたから言われた通り返しておいたぞ?」

「ん。ありがと、新一。」
「いいのか?……仲直りしたかったんだろ?」
「したかったけど、ちょっと怖いって言うか、」

「ま、時間が解決してくれるさ。
そんなに悩むなよ?」
「うん。じゃあね。ありがと。」

蘭達が私の事を聞いてくるかもしれないという感はあたった。
私もホントは仲直りしたかったけど、新一に言った通り怖かった。
拒絶と浴びせられる言葉に怯えて。
だから逃げた。
ラクをしたかった。
新一が教えてくれたみたいに時間が解決してくれたらいい。

***

誰よりも早くCIAになる為には人より何倍も多くの知識が必要だった。
平日は勉強、そして土日は射撃の練習。射撃訓練はストレスのはけ口になってくれるし、当たった時の快感はなんともいえないくらい好きだ。
なのに……

「ん"ー!!当たんなーーい!」

どうしても650ヤードが当たらない!あたしに銃を教えてくれた先生……つまり私のお父さんはもうこの世にいないし、教えてくれる人がいないため、自力でなんとかするしかないのだ。

上手くできないもどかしさに苛立ちだけが募り、ゴロゴロと寝転がっていた。

「ホー。その歳で650に挑戦か。」

頭上から声が聞こえた。

紺色のニット帽に長めの髪
……一度見たら頭にずっと残る、蟲惑的な美貌。
そんな人に先程の発言とみっともない姿を見られたかと思うと、やりどころのない羞恥を感じた。

恥ずかし!
なんであんな格好してたの自分!バカなの?!

「……あはは」

さっと立ち上がると、恥ずかしさを笑いで誤魔化して去ろうとした。

「待て。……マスターから聞いた。なかなか650ヤードが当たらないらしいな。」

余計な事をいいやがって。あんのクソ親父。

「あ、はい。そうです。………じゃあ私はこれで……」

サッサと去ってしまおうと思い足を進めようとしたが

ーーーパシッ!

腕を掴まれた、
「あ、あのぉー?」
恐る恐る口を開くと

「俺が教えてやる。」

有難いような有難たくないような、
一日が幕を開けた。
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