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「菜々くんこの服はどうかな?似合うと思うんだが?」
「バーロォ!そんな肌の出過ぎたヤツを菜々に着せんな。変態オヤジ。菜々はコッチの服の方が可愛いの!」

そう言って緑とピンクのフリルの多めな可愛いらしいワンピースを私と優作さんに提示し、優作さんが選んだ赤色の大人っぽいデザインのワンピースを無下にした。

それなぁ……着るの結構勇気いりそうなんですけど。

「癪だが、お前が選んだのも菜々くんに似合うな。……よし。両方買えばどっちも見れるな。」

ちょっ、は?
私値段見てないから分んないけど、生地の触り心地とかからして絶対それ高そうなんだけど。

買い物箱に次々と静かに他の服や靴。ハットにバックまでどんどん追加してる。

優作さんにストップを何回もかけているのに、簡単に流されてしまって全然説得出来ない。
罪悪感が私を襲ってくる。

ハァー。頭を抑えて立ち止まる。

「新一。私には止められない。」
「ま、イイじゃん。父さんの奢りなんだし。何より菜々にすげぇ似合ってたからな。」

キラキラ笑顔で褒められると嬉しくなっちゃって、なんかどうでもよくなってきた。
この親子といると本当に金銭感覚がなくなるんだけど。

お会計から戻ってきた優作さんに改めてお礼を言った。

「菜々くんは本当になんでも似合うからね。選んでいるコッチも楽しかったよ。」

ニコニコ笑顔でこんなにも紳士的な言葉を頂いた。
本当に恐縮だ。
「菜々くん。これから私のお気に入りの喫茶店にでも行こうか。菜々くんの好きな甘い物でも頼もう。」

休日は色んな場所に連れて行ってもらえるし、工藤家の人には本当の家族の様に扱ってもらえている。本当にありがたい。
けど、
さすがに探偵志望というか、
最近、事件によく巻き込まれ始めた。

ヴゥーヴゥー・・・

高いような低いようなパトカー特有のサイレント音が近づいてくる。
すると、何メートル先かに何台かパトカーがマンション前に停車し始めた。

「行ってみようぜ!」

新一がそんな事を言って走り出す。

いや、!いいよ行かなくて!
巻き込まれるの分かってて何故いく!?
巻き込まれなくても自分から首を突っ込んだら事件なんか回避できないじゃないか。

「ちょっ!新一ぃ。」
「わりぃな菜々!でも、目の前に事件があって素通りなんかできねぇよ。…あ!目暮警部!何かあったんですか?是非協力させて下さい!」
「ん?誰だね?………ああ!工藤君じゃないか!実はな…」

自分のすべき事を見つけてやる。
それが新一だ。
……応援しなくちゃなんだけど、
頭では理解してるんだけど、ね

新一によればどうやらこのマンションで首吊り自殺の遺体があったようだ。
目暮警部は自殺だろうから気にかける事はない。といったのにも関わらず、一応現場を見ておきたいと譲らない優作さんと新一。
そんな2人を無下にできない警部は
2人を事件のあった部屋に連れて行った。

部屋に行ったら直ぐ帰れると思ったのに。

「新一。何故これが殺人だと言い切れるか分かるか?」
「バーロー。バカにし過ぎだぜ父さん。まず第一に決定的といえる証拠は死亡した失禁跡が無い事だ。
首吊りなら死体の真下に失禁跡があるし、失禁跡がないってことは被害者は初めに何処かで殺され、吊るされたことになるからな。
第二に、首吊り自殺で一番の死因は首の骨が体重で伸びて骨折することによってだ。
首吊りは単なる窒息死じゃない。
なのに、首があまり折り切れてない上に死因は窒息死。
あたかも首をつって窒息死したかのようだけど、先に首を絞められて殺されたんだ。つまり他殺。ってわけだ。」

ドヤ顔で優作さんに他殺である理由を語りだした。
優作さんも、それに対して色々な反論や、疑問点を新一に問いかける。

いいな。
羨ましい。
私はもうお父さんとは議論も何も出来ない。
なのに、
新一は今目の前でそれを繰り広げている。
普通の親子なら出来ることも
今は叶わない。

本当は事件を解決している姿をみて捜査をしている姿がカッコイイとかドキドキするとか思わなければならないはずなのに。
純粋にそんな事も思えない私は
醜いのだろうか?

結局新一と優作さんが殺人事件として捜査した結果、
1、2時間程度で解決することが出来た。
新一は目標を幼い頃から持ち続け、
着実にその夢に近づいて行っている。
私なんか、あの日から時が止まっているみたいに、ただ、のうのうと生きているだけなんだ。

「……い、……おい!菜々!」
「っ!何?」
「大丈夫か?なんかオメーすげぇ泣きそうな顔してたぜ。」
「まさか!そんなことないよ。たまたまそう見えただけ。大丈夫よ心配しないで。それよりどうしたの?なんかあった?」
「いや、事件解決したから帰ろうかと思ってさ。もう夕飯の時間だし、どっかの店に母さん呼んで食べようって父さんが、」
「そう。じゃあ行こっか!」
「……あぁ。」

こんな醜い感情なんか知られたくない。
鋭く、明瞭な探偵さんには気をつけないと。

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