少し肌寒くなって1週間。 キメツ学園では煉獄杏寿郎が担任を務める3年の教室ではホームルームが行われていた 「今週の土曜日は待ちに待った文化祭だ!!」 机をバンッと音を立ててクラス全体に聞こえるようにハッキリと大きめな声で先生は言葉を放った。 文化祭は主に自分が所属している部活動での出し物をすることになっている。 煉獄が担任を務めるクラスの1人、苗字名前も所属している新体操部ではステージ上で文化祭に向けた演技を放課後に練習しており、準備はしっかりと出来ている。 ただ名前は「学園三大美女」の1人なんて呼ばれ、部員達に「センターやってよ!!」としつこくせがまれセンターになってしまったことに少し後悔をしている。 「(センターなんて緊張するな…しかも学校の皆の前で…)」 〜昼休み〜 「文化祭気が進まない………」 「どうしたのよ急に」 机に項垂れながら呟く名前。 そんな話を聞いてくれるのはクラスメイトであり親友の胡蝶しのぶ。 「だってセンターだよ?皆の前だよ?緊張するったら…」 「名前…貴女は新体操で結構優秀な成績も残してるし、堂々と演技していいと私は思うけどね」 「でも身内の前で見せるのはまた違うよー!」 自分の席の机でバタバタと少し暴れる名前。 それを見たしのぶは小さくため息をつき、呟いた。 「煉獄先生、感心してたけどなぁ…」 「えっ」 すると名前の動きはピタリと止まりしのぶに少し近付いては耳を傾ける。 担任である煉獄先生は、先生であると共に名前とは幼なじみである。とはいえ歳は離れている為友達のように仲がいいというよりは、面倒見のいいお兄さんとその妹の様な関係であった。 また、小さなときからよくしてもらい名前にとって幼なじみを超えて恋愛感情を抱いていた。 昔から妹の様に接してもらっていた煉獄に「好きです!付き合ってください!」と言ったところで叶うわけもない。 この気持ちは親友であるしのぶにだけは明かしており、「かっこいい」「素敵」等の独り言を聞いてもらっては見守ってくれる存在である。 「宇髄先生と話してたのよ、「幼なじみの名前がみんなの前で演技するんだ、すごいだろう!楽しみだ、感心する」って。目輝かせながら。」 しのぶは無理に煉獄のセリフを言ったためかなり棒読みとはなったが、期待していることを名前に伝える。 「むぅ」とふくれっ面をしながらまた名前は悩み始めたのだった。 「しのぶさん!苗字さん!いますか!!」 そう呼ぶのは同じ3年で別のクラスの女子生徒。 その生徒としのぶと名前は目が合い、「失礼します!」と言って小走りで教室の中へ入る。 その生徒は少し顔色が悪いようにも見え、薬学研究部にも所属しているしのぶが真っ先に声をかける。 「顔色悪いけど、大丈夫ですか?」 「あっいやそれが…今すごく困ってて…2人にお願いしたいことがあって…」 そういうと顔色が悪いうえで少し顔を赤くして少し視線をそらす生徒。 2人は何にせよ困っていることには変わりないと「聞くから話してみて」と優しく声をかける。 「実は、私手芸部で主に服を作っているの。文化祭でウェディングドレスを作ってモデルさんに着てもらってファッションショーする予定なんだけど…」 名前は話の途中だが「服作れるなんてすごーい!」と感心しながらもしのぶは話の結末を察したのか遠い目になっていたことを名前と生徒は気づいていなかった。 「さっき出来上がったドレスが、かなり細身になっちゃって…あと丈も少し長くなって…だからその…スタイルも良いしなんといっても可愛い2人にモデルをやってくれないかなって「私は小柄だからダメね、名前、やってあげたら?」 生徒が全てを言い切る前にしのぶは話し始める。 「えっ、でもカナエさん、しのぶのお嫁さん姿見たいとおも「私小柄だから」 あまりにも受け入れてくれないしのぶに圧倒されてしまう名前。 小柄なのがコンプレックスであるしのぶがこう言うは相当したくないのだろうと察する。 「じ、じゃあ私でよければ…」 「ホント!!じゃあ早速だけどこれからドレス合わせてみたいから手芸部に来てくれない?!待ってるね!!」 生徒は満面の笑みを見せて「ありがとう!」と言いながら走って教室を出る。 「良かったのかな私で…」 「いいのよ、名前はかわいいし自信持ちなさい」 「半分押付けたみたいにしたくせにー!」としのぶを軽くぽこぽこと叩き2人は笑っていた。 |