翌朝

杏寿郎と名前は、同じ布団で目を覚ます。
杏寿郎は名前に腕枕をしていたが。目が開いていて起きていると判断すると、そのまま勢いよく起き上がりそうなのを察知して名前は先に状態を起こした。

「師範、おはようございます…」

「うむ!おはよういい朝だな!」

一緒の布団で寝ていたこと以外いつも通りの会話。

ふとこの時名前に嫌な予感がよぎり、恐る恐る杏寿郎に声をかけた。

「あの…」

「なんだ!」

「昨夜のことは覚えておいででしょうか…」

「安心しろ!全てしっかりと覚えているぞ!」


名前は良かったと安心しつつも照れながら頷いてみせた。

2人は食卓へ向かうと千寿郎が朝食を並べ始めたところだった。

「あれ…?」

並べられていく朝食を見ると米が赤飯になっていることに気づく名前。
疑問に思い杏寿郎に目線をやるが一切表情を変えていない。

何か煉獄家で特別な日なのかと考えていると千寿郎がいつも以上にニコニコと笑顔なのに気付く。

「千寿郎くん…何故赤飯なのですか…?」

「そんな!兄上と名前さんがよくご存知なのでは!!」

「えっ、えぇ?」

まさか?と思いながら食卓につき3人並ぶと満面の笑みで嬉しそうに話し出す千寿郎。

「盗み聞きするつもりではなかったのですが、昨夜の会話を聞いてしまって…えぇ、その名前さんがいずれ家族になると思うと僕嬉しくて…!」


名前は気付く。千寿郎が昨夜の告白を聞いて関係を把握した上で夫婦になる事をすぐそこの未来にあると勝手に話を進めていた。


「ま、待ってください!まだ夫婦になんて…!ねぇ?!師範?!」

「んっ?」

口いっぱいに頬張っていた杏寿郎に声をかけると口を閉じては一言だけ返事が返ってくる。
口の中にあるものを全て飲み込むと一息つく杏寿郎。


「俺と夫婦になろう名前!!」


「そんな?!早いですって!!」


突然の球根に慌てふためく名前。
千寿郎は「わー!」と言いながら目を輝かせて拍手をしていた。


するとひとつの襖が勢いよく開けられる。

そこには杏寿郎と千寿郎の父、慎寿郎の姿。
この時名前は既に嫌な予感しかせず血の気を引いた。

「夫婦になることが決まったのか杏寿郎!」

「はい!父上!!」

「まっ、待ってってば!!」


名前の一言に一瞬で静まり返る食卓。


「えっ、あっ、あの…その…」

「杏寿郎と夫婦になるのが嫌か?」

動揺する名前に対し慎寿郎が問いかける。


「嫌ではないですけど…だってほら、子どもも出来ないし…何よりまだ早いかなー…なんて…」

「子どもが出来なくとも愛し合えるだろう!子どもが欲しければ養子をとっても構わない!まだ時期出ないと言うならば君が良いと言うまで待とう!」

「と、俺の息子が言っているがどうなんだ」

「えぇぇ…本当に私でいいんですか…」

名前は困りながらも、少し嬉しくもありそう言葉を発すると杏寿郎はじめ、3人は深く頷いていた。


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とっぷ