君の笑顔
 

『ルーシィ腹減った〜』

『ここあたしの部屋ー!!!』



いつものようにギルドを出て、いつもと同じ道を歩いて、いつもと同じように家に入る。

すると、これもまたいつもと同じように我が物顔でソファーで寛いでいる男が一人。


『腹減った。じゃないわよ!!だいたいここはあんたの家じゃないでしょ!?』

『オレの家じゃないに決まってるだろ。何言ってんだルーシィ』

『…何故か馬鹿にされた気がするんだけど』


なんだかんだ文句を言いつつも2人分の料理を作るルーシィ。

ハッピーはウェンディの家に泊まりに行ったため今日はいない。


『はい、晩御飯』

『お、カレーか!早ぇなルーシィ』

『昨日作ったのを温めただけだからね〜』


どうせ明日も来るんだろうと思って作った、とは到底言えない。


『…それで、今日は何の用?』

『んが?ほふにほうはんへなひほ』

『飲み込んでから話しなさい!!!』

カレーを頬張っていたため、しばらくしてやっと飲み込めたようだ。


『特に用なんてないぞ、って言ったんだ』

『はぁ?あんた用も無いのにあたしの家に来たわけぇ!?』


いつもはハッピーも一緒に来ていたため、一人で来たからには何かしらの用があるからかと思ったが、そうではないらしい。


『用がないと来ちゃいけねぇのか?』

『普通は来ないわよ』


そう、"普通"は。

普通ならば恋人同士でもない限り、夜に女の子の部屋を訪れたりはしない。

今まで何度もナツにそう言ってきたが、効果は無し。

ルーシィは深いため息をついた。


『じゃあルーシィの言う"普通"ってなんだよ』

『え?』


いつもよりも少し低い声。
怒っている、というよりは不貞腐れている、の方が近いかもしれない。


『…いつも言ってるじゃない。夜に恋人でもない女の子の部屋に入っちゃいけないって』

いつもよりも小さな声になってしまった。
さっきのナツの声にやられたのか調子が狂う。

これじゃあまるで――



『恋人ならいいんだな?』



――恋人になって欲しいみたいじゃない。


『え、や、あの…そっそうよ!恋人ならいいのよ!』

『ふーん、じゃあ恋人になろうぜ!ルーシィ!!』

『な…!!なろうってあんた、そんな簡単になれるもんじゃないのよ?』

『そうなのか?お互いに好き合ってればなれるってロキから聞いたんだけどな』

『ロキに…??』

いつも勝手に出てくるあの星霊を思い浮かべる。

そうして、ロキなら言いそうなことだ、と納得してみる。


『オレはルーシィの事好きだし、ルーシィだってオレの事好きだろ』

『…はひ…!?』


ロキなら言うなぁ、と納得していたところに突然の爆弾発言。
あまりにも予想外なナツの言葉はルーシィの思考を停止させるには十分だったようで。


『なんだよ“はひ”って!!ルーシィはやっぱり面白いな』


盛大に笑うナツを見て、ナツのさっきの好き、は仲間としてだ、と理解はしていても顔は赤いまま。


『ん?おーい、ルーシィ?』


どうしたんだ?
と言わんばかりに近づいてくるナツ。


『え…あ…!ちょっとナツ!顔近い!!』

『ルーシィ顔真っ赤だぞ、熱でもあるんじゃねぇか?』

『なっ、ないわよ!!!』

『んー。分かんねぇや』

『なっ!?』


ルーシィの額に自分の額をつけてみるが、火竜の体温はもともと高い為よく分からない。


『熱でもないならどうしたんだ?』


まさか病気か!?
なんてナツが慌て出すため思わず吹き出してしまった。

そのルーシィの笑顔を見て何故かナツが赤くなる。


『あははっ!…ってなんであんたが赤くなってるの!?』


『分かんねぇ。…つーか見んなよ』


真っ赤になりながらマフラーで顔を覆うナツが可愛くて、ルーシィはまた笑った。




君の笑顔




(ルーシィの笑顔が可愛かったからなんて言えるかよ)






――――――

長くなりそうだったので途中で終了。

恋人がどうのって話は一体どこへ。


雪が書くとハッピーは高い確率でウェンディとシャルルのとこにww
ハッピー頑張れ!



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