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「垣根さん垣根さん」
「あぁ?」
「なんで今日はめ!ず!ら!し!く!…優しいんですか?」
「俺はすべての女にい!つ!で!も!…優しいんだよ馬鹿」
「垣根さん垣根さん」
「なんだよ」
「うざいです」
「……」
どうやら今日がひなまつりだからめずらしく優しいようですこの男。いつもは割り勘なお昼ご飯が垣根さんの奢り。…いやあ、明日は台風がくるんですかねえ?なんて思っていたのに。なーんだ、そういうことでしたか。ひなまつりですからね、いつも女とも人間とも思ってないようなわたしにも優しくしてくれるんですね、そうなんですね。
「垣根さんの頭ってほんとメルヘンですね」
「あ?なんだそりゃ」
「べっつにー」
「まあでも、コレはホントに嬉しかったです」
「おー、そうかよ。そりゃよかった」
そう言って垣根さんにもらったストラップをちらつかせる。あー、また美琴ちゃんにガキっぽいです、って言われちゃうかもなー。けど、可愛いんだよね、このメルヘンちゃん。……いや、メルヘンちゃん、っていう名前はちょっとアレだけど、ほんとに可愛いの。
「お前ってほんと物好きだよな」
「いや、垣根さんには言われたくないですけどね」
「それどういうことだよ」
「だって垣根さん女の趣味悪いですもん」
「おいお前それちょっと詳しく聞かせろ」
垣根さんはこういう日にじゃないとわたしに優しくしてくれないけど他の女の人にはいつでも優しいですもんね。……え?別に妬いてるとかそんなんじゃないですからね絶対!



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