junk | ナノ

※削板妹さん設定



兄とふたりで夕食の買い出しなうです。ふたり一緒に学園都市を歩くのは結構久しぶりな気がします。
「軍兄、今日の夕飯なにがいい?」
「夕飯かぁ……」
「うん、軍兄のリクエストを特別に聞いてあげようと思う!」
「オムライス!」
「今朝もオムライスだったんだけど!?」
「む、そうだったか?」
「そうだったよ!……まったく、軍兄に聞いた私がバカでした…」
はあ、とため息を零し肩を落とせばすまん……という兄の情けない声が降ってきて頬がゆるむ。
「…ふふ、もう……しょうがな」
「なまえ?」
聞き覚えのある声に、足が止まる。どうやら声の主は私たちの前方からやってきたらしい。兄の方に向けていた視線をぎぎぎ…と声の聞こえた方へとむける。
「え、か、かみ……」
「よう」
「上条!?」
「お、おう」
ばくばくばく、と上条の姿を認識してから急に騒ぎだす心臓に動揺。ななな、な、なんで上条がこんなとこに……いや、なんでこんなところで上条に……!
「っ、や、やあ!こここここんにちは上条!」
「どうしたなまえ、熱か?」
「う、うっさい!ちょっと黙ってて!」
「あ……そっちの人、もしかしてお前のコレか?」
上条はコレ、と言って右手の親指を立てた。
「ち、違うますよ!」
なななななんてことだ。軍兄が彼氏なんて上条に勘違いされたら困る!
「(違うますってなんだ?)」
「こ、こっちは私の兄で……」
「削板軍覇だ、よろしくな!」
「どうも、上条です」
にっと笑う兄とぺこりと会釈をする上条。誤解は、とけた、ようだ。ほっと安心する私はどうやら相当──。

「ああああああ!!」
「どうした、なまえ!?」
「ッ、な、なんでもない!」
「顔赤くないか、お前」
「かかかかみじょーの気のせいだ、よ!」
「どもりすぎ」
上条にこつん、とおでこを小突かれて一瞬息が止まる。顔が赤いことを指摘され否定したばかりだというのに、更に顔に熱が集中したのが分かりこの場から逃げ出したくなった。

「ぐ、軍兄!そろそろ行こう!……じゃ、じゃあまたね上条!」
「む?」
兄の腕をつかみ強引に引っ張り上条に背をむける。
「え、ちょ……なまえさん?…おーい!」
後ろで上条が何か言っているけれど振り返らない。私は振り返らない、ぞ。

「いいのか?」
「い、いいのいいの、上条なんて別にいいの!」
「いや、そうじゃなくてだな」
「え?」
「行こうとしてたスーパーはあっちにあるだろ?こっちに行ったら家に逆戻りで……」
「ぐ、軍兄ごめん、向こうから遠回りして行こう……」



120310
:上条さんに恋する削板妹さん