飲め飲めって言われてコップに注がれていたのがお酒とも知らずに飲んでた。 結果、酔っぱらいの完成。 垣根がトイレに行った隙に垣根の部屋からおぼつかない足でふらふらと逃げ出した。
外に出てから、意識がどこかへぶっ飛びました。ここどこ? ぼんやりとした視界。揺れる身体。イライラが募り、つぶやく。
「かきね、の、ばかぁ」 「カキネ…?」 「んあ…、土御門く、ん?」
あれ。つちみかどくん? うちの学校の生徒で、小萌先生のクラスの子。たまに廊下ですれ違っては挨拶したりお話したりする仲だ。
「なまえ先生、お酒いっぱい飲んだのかにゃー?」 「…」
なんで、その土御門くんがいるんだろう。 そしてわたしはなぜ、今、彼の背中にいるんだろう。
「?」 「あー、ふらふら歩いてるなまえ先生を見つけたかと思えばいきなり倒れるから、助けるしかなかった…とかまあ、そんなとこだぜい」 「そ、なんだ…」 「なまえ先生はこの土御門さんが責任を持って家まで無事、送り届けますにゃー」 「えー」 「…嫌だったりするのかにゃー?」 「うーん、…土御門くん家に泊めて」 「………は?」
正直めんどくさい。家まで行けば垣根が待ち伏せてそうだし、どうせ遅くても朝になったら来るだろう。せっかく明日は休みなのだ、存分に休みたい。
つまり、情けない話ではあるが、生徒に匿ってほしい、と遠回しに頼んでいる。
「い、いですけど…俺、我慢できる自信ないぜい…?」 「がまん…?」 「なんでもないにゃー。ま、なまえ先生困ってるみたいだし、土御門さんは断ろうなんて勿体ないこ…ごほん!…酷いことは考えてないので安心するといいにゃー」 「うん?ありが、と…」
ねむい。おちる、おちる、 半分以上、土御門くんがなにを言っているかわからなかった。とにかく、泊めてくれるらしいことだけは分かったのだけれど。
「むにゃ、…つちみかど、くん、おやす…み…」 「! おやすみ、なまえ先生」
110606 :先生と土御門くんとカキネ
|
|