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「暑、い…」
ぱたぱたと下敷きで自身を扇ぐ。扇いでも暑さはなくなってくれないけど。やらないよりはマシだ。
「根性がねぇ、よ、なぁ…」
「削板……」
今、いちばん会いたくなかった人物に会ってしまった。今日はなぜか休み時間になると教室にいない削板に安心していたというのに。
「なまえ…!」
「はいはい」
「オレにも、それ、頼む!」
「へ…?」
今日その時はじめて削板の顔をみた。てっきり下敷きでぱたぱたするのを止めろって言われるんだろうと思ってたんだけど。…どうやら、今日の削板はなにかがおかしい。
「顔、真っ赤じゃん」
「そ、そうか、?」
もしかして、熱があったり…?根性がねぇとかってさっき言ってたのはわたしにじゃなくて、自分に言ってたり…。
「削板ちょっと」
手を上から下におろし、削板に屈むようお願いする。そして、……ぺた。
「熱っ…!ちょ、す、すごい熱じゃない!」
「む……バレた、か」
「バレたじゃないわよ馬鹿!…なにが根性よこれは根性がどうこうってレベルじゃないでしょうが!」
「うッ…」
「保健室で寝るか帰りなさい根性馬鹿!」
…夏の無理な根性は体によくないのでやめましょう。



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