「こっち来いよ」 そう言って手を差し出してくる垣根。これはあれだ、手をそこに置いたら俺がエスコートしてやる的な何か。だから、眉間にぐぐっとしわをよせて全力で嫌な顔をしてみせる。 「えー」 「コラ」 「ヤダ柄悪い…」 「あ?」 「垣根こわーい」 「…」 「睨むなレベル5」 「超能力者偏見はよくねぇと思うぜ?」 「それはゴメン」 「思ってねぇだろ」 「うん」 「…ったくお前は、」 「ごめんごめーん、ワタシ垣根だいすきー」 思ってないよ。そんなこと。垣根のこと嫌いではないけどね、好きでもないみたいなね。けど言ってみる。もちろんおふざけ100パーセントで。 「!」 「だから、許して?」 「……」 「なーちゃって。だいすきとか言って鳥肌尋常じゃないわこりゃ…うぎゃあッ!?」 差し出されていた手はいつのまにかわたしの手をつかんでいた。そして一気に強い力で引っ張られた。うん、なんて素敵な笑顔。きらきらした瞳、そして綺麗な弧を描いた口。 「俺はなまえのこと愛してる」 「あ、の、かき、」 「それを今からゆっくりじっくり時間をかけて教えてやる」 「あのー…?」 「行くか!」 ああなんて眩しい笑顔! …、さあどうやって逃げよう!
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