この幸せさえ幻想だとしたら?俺は生きていけないな。 上条は小さな声でそう呟いた。
安心してよね。わたしがいま、背中に感じてる温度は幻想なんかじゃないんだから。
「上条ってたまに恥ずかしいこと言うよね」 「? そうか?」 「うん。し、しあわせ、って…」 「ほんとのことだろ」 「〜っ…!ど、どんな顔して言ってるのか見えないけど、きっと真顔で言ってるんだよねぇ」 「?」 「そんな上条も、すき、なんだけどさ、」 「あー。なまえさんそれは上条さんを誘ってるってことでいいんでせうか?」 「ばあか。違うから」 「えー」 「ったく…」 「あれ?なまえ、なんか耳が赤…」 「き!の!せい!アホ、バカ、見るな離れなさいっ!」 「えええ!急に冷たくなっ、」 「だああっ!余計力いれないで!」
ふたりで居れる今を幻想になんてさせないし、打ち消させたりもしない。 守り切ってみせる。これだけはかならずに。
110409
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