junk | ナノ

わたしは、壊されてもいいんだよ。垣根さんになら。壊すことを恐れないで。どうかわたしの背にあなたのその腕をまわして欲しい、

「垣根、さん」
「ばか、っ…死に、てぇのか」
「そんな能力、いまのあなたに必要ありません」
「あ、?」
「わたしがいます。闘いは終わったんです、だから、」

もうその能力で自分自身を壊そうとしないで

垣根さんの背にある翼が消えていく。安堵して息をついたわたしを、垣根さんは苦しげな表情で見つめた。

「お前、ほんと、馬鹿だな…ックソ、!」

ぐん、と強く引っ張られ身体が垣根くんの方に倒れかけた。翼が完全に消えた垣根さんが、わたしの背に腕をまわし引き寄せたのだ。

「怪我、ねぇか?」
「は、はい」
「ならよかった、」
「垣根さん…」
「一番守りてぇヤツを、俺が自分で…傷つけちまうとこだった」

壊したくねぇんだ、お前は。

垣根さんらしくない弱々しく放たれた言葉に、わたしはどきりとした。



110409