※ホストぱろ
グラスを片手にため息ひとつ。 「あー、疲れた…」 「今日もお疲れさまです、なまえさん」 「……ほんと、上条くんは癒しだわ」 「癒し、ですか」 「うんうん。あ、もちろんこの店で飲むのが疲れたとかじゃないからね!お酒好きだしおいしい。でもねえ、明日も仕事ってのが……はあ…」 「大変そうですね、お仕事」 「なにが疲れるって上司がすんごい恐ろしいのよ!い、いや、たまーに優しいとこも…ほんとにたまーに」 「あはは、そりゃ疲れますね。うちの上司もうるさいですよ」 「オーナー?えっと、つち…ナントカさん…」 「土御門さんです」 「あーそれそれ」 「なまえさんの記憶力のなさが俺は心配なんですが」 「あっはっは!まあ、上条くんは覚えてるし、大丈夫じゃないかなー」 「そ、ですね…」 ぽりぽり、と頬をかく上条くんを見つめると、その頬がほんのり赤に染まりつつあるのがわかった。 「あれ?上条くん照れてる?」 「て、照れてないですよ断じて!別にオーナーの名前は覚えてないのに俺の名前を覚えてることにキュンってなったりなんかしてな……あ」 「なるほど」 やっちまった。みたいな表情をしている上条くん。 「詳しく説明してくれてありがと、上条くん」 にやにやと笑いながらそう言ってやる。いやあ、なんだか反応が初々しくてかわいいねえ。 「っ……ふこう、」 「ふこうなの?」 「……、不幸じゃないですよ」 そう言ってくすくすと笑う上条くん。 「?」 「なまえさんとふたりでいるとき、なまえさんと話してるときの俺は、幸せいっぱいですよ」 上条くんは、あ、あれだ、あれ、 「…実はホスト向き…」 「?」 「あーなんでもないよ。そう言ってもらえて嬉しい、なまえさん今度から上条くんを指名しに来るね」 ええっ!?と驚きの声をあげたところを見ると、こいつ……天然たらしか…!こわいこわい、わたしも客として気を付けないとね。
110327 :ほすとぱろをお客さまとしてお楽しみ頂くおはなし
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