「とーまさんとーまさん」 「なんでせうかなまえさん」 「呼んでみただけー」 へらり。少女は笑う。 「……」 ガシッ!上条当麻はへらりと笑った少女の腕をつかんだ。逃げないように、しっかり、がっしりと。上条は少女の左腕をつかんでいる。 「どしたのとーまさん」 少女はまだ笑っている。上条当麻は焦っている。少女は笑っている。上条につかまれていない方の右腕は、シャーペンを握りしめたまま硬直しているが顔は笑っている。 「終わる気がしねぇんだ、俺」 「奇遇だねとーまさん、私も終わる気しないよ」 「いやぁ、なまえさんの場合はただやる気がないように見…」 「それは気のせいだよ」 「今だって逃げたくてしょうがねえって顔になってるぞ」 「?」 「なまえが気味悪いほど間抜けな笑みを浮かべてるときは、どうにかその状況から逃亡できないかと考えてるんだ…ってことくらい上条さんはお見通しです!」 その言葉に少女の表情から笑みが消えた。同時にチッ、という舌打ち。 「とーまさんにはお見通し、か」 「まあな」 「にしても……間抜けな笑み、ねぇ?」 「えっ、いや、あの、さっきの言葉は…っ」 「とーまさんにわたしの分もお願いするとしよう!」 「なんですかそれは不幸すぎやしませんか!?に、逃がさないぞっ」
110320
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