ohanashi | ナノ

後ろからがばりと抱きつかれ動揺……は、していないが、非常に恥ずかしい思いをしています。わたしが「寒い」なんて言ったのがいけなかったんだろうな、とついさっき言った言葉に後悔する。

「どうだ。これであったけーだろ?」
「まあ、…はい」
「んだよその顔は。俺にされんのが嫌なのか?」
「垣根さんにされるのが嫌というか…そもそもこういったことに慣れていないというか…」
「あっそ。……、なあ」
「はい?」
「お前もこう…ぎゅーってしてみろよ、なあ」
「えー、…やです」
「照れんなって」
「なんかむかつきます」
「いいから、ホラ」

そう言う垣根さんの手はさきほどからわたしの腰あたりにあって、ぎゅうっと更に体を引き寄せられる。うわあ、なんかすっごい恥ずかしいわあ…。ええい!こうなりゃわたしも!わたしは垣根さんの行動に振り回されてばかりいて、目の前でわたしを抱きしめる垣根さんは顔色ひとつ変えていなくて。なんだか悔しいのでわたしもぎゅーっとしてみることにした。えいっ!

「!」
「おっ、さっきよりあったかい」
「な、…なまえ、おま…」
「?なんです…」
「…誘ってんのか?」
「…はあ?」

垣根さんの意味不明なひとことにわたしは呆れて睨みつける。もちろん、この状態だと顔は見えないので腰にあった垣根さんの手がゆっくり下へ動いてわたしのお尻を撫でた。こ…このメルヘンタイめ…!

「いい尻してんな、なまえ…うおっ!いきなり何すんだよ」
「何ってそりゃ、アンタをぶん殴るに決まってるんでしょうが」
「なまえが誘ったんだろうが」
「誘ってませんからねこの勘違いメルヘン野郎」
「…笑顔でんなこと言うなよ。笑顔は笑顔でも、俺はお前のそういう笑顔が見たいわけじゃねえんだから」
「……垣根さんのばか」

そんなメルヘン発言、ずるい。



鼓動の隠し場所

23 feb 05

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