ohanashi | ナノ

学校を早退したのなんて、何年ぶりだろうか。あー、だるいだるい。熱もあるみたいだし、頭も痛いし、気分は最悪である。保健室に行ったあと教室にカバンを取りに戻ったときだったか。気分が悪いから帰る、と言ったわたしを心底心配そうな顔で見てきた青髪を思い出しなんだか少し嬉しくなった。上条も土御門も、はやく治せって言ってくれたし、今はとりあえず……寝よう。

「う…、へ……?」
「あ。起きたかにゃー?」
「つち、みか…ど…」
「ああ」

家のベッドで倒れるように眠りについてから…目が覚めたらなぜか土御門っぽい人がいた。いや、土御門がいた。これは夢じゃなきくて現実らしい。

「な、んで…いるの…」
「なまえが心配で見舞いに来てやったんだぜい」
「ああー…じゃあ帰ってください」

そう言えば怪訝そうに眉をしかめる土御門に、わたしは申し訳ない気持ちになる。いやいや、だってしょうがないじゃないの!わたしは病人だし、風邪を移すわけにはいかない。

「せっかく来たのに酷いにゃー」
「うん、わたしの為だと思って帰ってください」
「どういうことか説明して欲しいにゃー」
「風邪、うつる、ダメ」
「……そんなことか。なら、俺はここにいるぜよ」
「…はあ?ばかつちみ、…っごほ、…あー喉いたい」

なーにが、ここにいるぜよ、なんですか。別に嬉しいだなんて思ってないんですからね。ちっとも!これっぽっちも!

「ね、今ならまだ大丈夫だし…帰りなさ、」
「遠慮するぜい。俺が居たいと思ったからここに居る、それじゃダメかにゃー?」
「ダメ」
「じゃあいっそ、土御門さんにうつしなさい」
「は、……?」

じりじりと近づいてくる土御門に対して私は布団で顔を覆い隠す。え、な、ななな…なんなんです土御門さんどうしてにやけてるんです…?



うつしかた

23 feb 03

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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