ohanashi | ナノ

「…なまえは嘘ついたりしないよな?」
「上条なんで泣きそうなの」
「そりゃもう…」

上条の言葉を聞くまでもなく、上条がまわりのみんなから嘘をつかれてくたくたになっていることは見てとれる。うん、今日も清々しいくらいの不幸っぷりですな!わたしは上条がかわいそうになったので、嘘をつくのはやめることにしました。とびっきりの笑顔でだいっきらい!と言ってやろうという企みをしていたのだけどね、まあ、かわいそうだもんね。あー、けどわたしに嫌いって言われた程度じゃ上条は傷つかないかもね。そっかそっか。じゃあ嘘ついてもいいかな。いいよね?うん、だってこの4月1日に嘘をつくのがわたしの生きがいだもの!…まあ最後のは嘘だけど。

「上条!」
「は、はい?」
「あのね、わたし上条のことだいっきらい!」
「なまえさんそれは本気で言ってるのでせうか」
「え?」

ぎらり、と上条の目が光った気がした。うん、なんだろう、悪寒がするぞ。言ってしまって後悔することはたくさんある。特にわたしの場合は。自称嘘つきにゃーにゃー男な土御門と並ぶくらいの嘘つきのみょうじなまえさんを舐めちゃいけませんぜ。わたしは嘘ついたりしないよな、なんて最初からおかしいのだよ上条。わたしの日常は嘘で出来上がっているのを君は知っているはずだろう?…まあこれは半分嘘で半分ほんとうだ。ちなみに嘘部分は土御門と並ぶくらい嘘つき、ってところである。わたしは土御門以上に、嘘つきだ。

「なまえは普段からたくさん俺を騙してるんだから、今日くらい嘘はつかないだろ?そうだろ?」

上条さんの目がとても怖いです。全然笑っていません。タスケテー!インデックスちゃーん!と言いたいのにインデックスちゃんがいません。インデックスちゃんはいるけど意識がここにありません。そうですインデックスちゃんは夢の中でぐっすりお休み中なのです…!そんなインデックスちゃんに助けを求めるべくわたしは大声をあげようとした。

「むぐぐ!?」
「あんまり大きな声出すなよ、インデックスが置きちまうだろ?」
「む、うう、!」
「声出さないか?」
「う、う!」

上条に口を塞がれてしぬかとおもいました。必死に頷くとまだ目が笑ってないなんだか目に光すらない上条が口から手をどけてくれました。これはエイプリルの呪いなのでしょうか、みんな上条にどんな嘘ついたのよ…!上条の怒りの矛先がすべてわたしに向けられているじゃないかまったく!

「で、さっきの嘘じゃないよな?」
「え、あ、う、嘘、だよ」
「…ほんとは?」
「す、すき…」
「そんだけ?」
「だ、大好きだよ上条!」
「うん、俺もなまえのこと大好きだぜ」

へら、と笑った上条。その表情はいつもの上条のものでホッとする。戻ってきた、いつもの上条が戻ってきたよー!しかしなんだろう、自分が言った言葉にも上条に言われた言葉にも、すごく恥ずかしくなってきたんだけど。



うそと悪寒

23 apr 01

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