ohanashi | ナノ

「あ、あのう…みょうじさん…これは…」
「友チョコってやつだよ、上条!」

えっへん!と腰に手を当て好きに食べていいんだぞ、と言う彼女にわたくし上条当麻は素直に喜び素直に悲しんでいる。まさかあのみょうじがチョコをくれるだなんて、という嬉しさ。そしてこの手にあるチロルチョコと「友チョコ」という言葉に胸がちくちくと痛んでいます。嬉しいような悲しいような、それでいて行き場のないこの感情たち。ああ、不幸なのか、それとも、

「……上条は…わたしからのチョコなんて要らない、か?」

俺の表情を見てなにかを感じ取ったのか、みょうじがいきなりそんなことを言い出した。俯いてどこか悲しそうな表情をするみょうじにどきりとしたのは秘密である。シュンとしているみょうじはなんだか新鮮というかなんというか。…ハイ、すごく可愛いです。

「そんな訳ないだろ」
「そ、そうか…?」
「俺はすごく嬉しいぞ」
「…けど、上条はその…他の子から手作りのチョコとか貰って、るんだろ?」

まあ貰ってはいるが…あれもこれも、本命ではないだろう。だがしかしそれがなんだというのだ。…そうだ。チロルチョコだろうがなんだろうが、俺は今すごく幸せだ。そう、本命の子から貰ったってだけで、幸せなんだ。……まあ、友チョコではあるが。

「だから、その、わたしのなんか…」
「いる」
「…え?」
「みょうじがくれるものだったら、要らないものなんかない」
「か、上条…」
「すごく嬉しいよ。ありがとな、みょうじ」
「!」

友チョコではあるがみょうじが俺にくれたものだ。前日までわたしにチョコくれなきゃいたずらしちゃうぞ!なんて季節はずれのネタも交えながらクラス中でチョコを請求していたあのみょうじが、貰うのではなく、俺にチョコをくれたのだ。これは、ある意味、奇跡だと思う。…素直に喜べ上条当麻。友チョコだけど。

俺は一呼吸してみょうじを見た。あれ?なんか、みょうじの顔…赤くないか?熱か?不思議に思ってみょうじの額に手を伸ばそうとすると…まったく!とみょうじがカバンの中をごそごそと漁りだした。

「し、仕方ないなあ上条は!」
「?」
「…これも、ついでに、あげる」
「!…こ、れって」
「あくまでついで!だから!」
「おっおい、みょうじっ…」
「味は期待しないで、お、美味しくなかったら別にそのまま捨てちゃってもいいから!」

この手にあるのは、一体なんなのでしょう。チロルチョコとは別の、みょうじからのプレゼント。こ、これは、まさか…手作りチョコだったりしちゃうんですか…!味は期待しないでね、か。…どんな味でも食べれる。上条さんはみょうじさんから頂いたものだったらなんだっておいしく頂きますよ…!お、ど、どうしたんだ上条当麻、さっきからにやけが止まらな、………幸せ、だ。



happy valentine's day !

23 feb 14

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