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ぼすっ
彼女がベッドに倒れこんだ音が部屋に響く。天井に向かって伸ばされた両手はすぐに力をなくし、ボスンという音を立ててベッドに落ちた。何がしたいのだ、と思いながらも声には出さない。言ったところで彼女の機嫌が悪くなるだけだ。しかし、自分の部屋であるとはいえ、今は男を迎え入れているというのに…どれだけ無防備なのだ。

「上条って、いま好きな子とかいるの?」
「は」

それは本当に唐突でした。その一言は俺を動揺させるには十分な一言でした。

「あ、あの、なまえさんはいきなり何を言いだすんですか…?」
「う、うん?まあ、なんとなくだよ」

なまえさんの声色からして、もしかしなくても…なまえさんも、動揺して…?さりげなく、ごく自然な動作でベッドに近付き、なまえの顔を覗こうとした。……その時、突然なまえが勢いよく体を起こした。…うおうっ!?!

「ひゃっ…」

ひゃっ?…なんていうすごく可愛らしい悲鳴が聞こえたわけですがどうでしょう。俺の視界を覆う黒。手は手触りの良いやわらかいもの。なまえが突然起き上がったことでどうやら俺はバランスを崩してしまったらしい。…しかし、これは一体なんでせうか…?黒の中にあるのは、白の……、

「かかか上条…っ、なな何してっ…!!」
「う、お……えっ…?」

ふわりと何かが上に上げられて俺の視界は元通り、光を取り戻した。すぐ目の前、…上からわたくしを見て顔を赤くしておられるなまえさん。状況を理解するまでにそれほど時間はかからなかった。

「うわあああああなんと謝ればよいのかああああ」
「……」
「なまえ、さん…その、す…すみませんでした!」
「…、いや…」
「?」
「別に下着見られたわけじゃ、ないし…平気…だよ」

そう言う顔は真っ赤で、平気というわりにはオドオドしていて、…なぜでしょう、上条さんの悪いところが今すぐにでも出てきそうな気が……なにこの可愛い子、いじめたい…なんて。

「………なまえ」
「?かみじょ、……え」
「…あの、上条さんはこれでも健全なおとこのこということで許してください」
「?」



理性消灯時間

23 feb 07

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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