なんとなく色素の薄い瞳も冗談みたいな緑の頭も眉間に深く刻まれる無愛想なシワも、ぜんぶ。ぜんぶ好き。
「ぜんぶぜんぶすきだあ」
「なんかいったか」
聞こえてる癖にロロノアは聞こえないふりをする、なんの悪びれもなく、平気で。最近子どもと大人の間をフラフラさ迷う絶賛迷える子羊サンジな俺がロロノアについて学んだことの中のひとつである。奴は大人だの子どもだのこだわって平気で俺を傷つけるのだ。ロロノアにしてみれば、このヒドイ仕打ちは俺の幸せを願う気持ちがそうさせるのでありうんぬんかんぬん。
興味がないから頭に入ってこなかった。つまりはそんなんどーでもよいのだよロロノア、この偽善者めが。
「呼び捨てにしてんじゃねえぞ、クソガキ」
これはうっかりさん、全部声に出てたらしい。てへぺろ、お茶目に舌をだしながらコツンと頭を小突いて健気に可愛さアピールな俺。
「ふざけてんな、アホ。真面目にやれ」
「なんで怒るかねえ、つまらない大人だよお前はしね」
「今さりげなく死ねっつったな!」
「言ってないロロノアしね」
また…っ!と青筋浮かべて説教おっ始めたロロノアに、これ見よがしに耳をふさいで見せてやる。聞こえない、聞こえない、聞きたくない。俺の言葉全部聞こえないふりする奴の話なんか聞いてやるもんかばかまりも沈め。
「…なんでテメエはそう無駄に打たれ強いんだ」
「勘違いすんじゃねえ、俺だって勝機のねー勝負いつまでも続けるほど暇じゃねんだよ」
「あ?」
「おまえが俺のこと好きな癖に」
「おい」
「嫌いなふりしてんのはバレバレだぜ」
バ レ バ レ
もう一度ゆっくり、今度はロロノアの目を見ながら。出来る限りの嫌みをこめつつ。つーかロロノア怖いんだけど。俺今めっちゃ睨まれてて〜なんつー報われない子なんだサンジおまえ可哀想!
「呆れたもんだ」小さくロロノアはため息混じりにそう呟いて、グシャグシャと俺の前髪をかき混ぜる。それからそれから、すっげー、すっげーえ優しい顔で、愛しくてたまんないみたいな顔で俺を見て(これは事実であり自惚れでは決してない)こっからはいつもと全く同じ。
「お前みたいな生意気なガキは嫌いだよ」
「…それでもおれはロロノアがすきだ」
アンタは早く思い知ればいい。嫌いって言うより好きだって言うほうが断然むずかしーんだ。若者にいつまでも甘えてんじゃねーぞクソミドリ。