十ニ
白衣のポケットの中に何か入っていた。入れた覚えのないものが。
「お前が?」
すぐに珍しくも病室でおとなしく寝ている金髪を問いただす。先日の洗剤いっき飲みは流石に辛かったらしい。枕に顔を伏せたまま、くぐもった声で男は答えた。
「マカロン」
答えになってない。
「お疲れかと思いましてえ」
「誰のせいだと」
「鼻で笑うんじゃねえよ鼻で」
「ちゃんと食えよ」
「潰れてる」
「食いもん粗末にすんな」
小さくため息を吐く。
「先生に一番似合わなそうな色選んだんだぜ?」
ふはは、
足をばたつかせながら、相変わらずくぐもった声で愉快そうに金髪が笑った。馬鹿らしくなってベットに腰掛ける。パタリと金髪は動かなくなった。
キツいピンクが病室の白と酷く不釣り合いで、目が痛い。
マカロンは呻く金髪の口に無理やりねじ込んでやった。