十度目の身投げ。今回も黙って見送る。しかし男の背中に自分が何かを願っていることに気づいてしまった。

吐き気。

なんてこった有り得ない気持ち悪い、いや気持ち悪いのはあの男か。壊れているくせにそこらの人間よりよほど人間らしく笑うのがいけない。知らなくて良かったものを知ってしまったような気がする。

無意識に走って手術室に向かっていたようで息が上がってしまっていた。そんな自分にまた吐き気。






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