六
「もう六度目だ。なんとかならねえか、あの死にたがり?金と労力、ついでに時間の無駄だ。付き合いきれない。」
「お金のことなら構いませんわ、彼のものですから。先生のお力が必要なんです。どうぞ今後ともよろしくお願いします。」
女は微笑みながら丁寧に頭を下げた。肩まで切りそろえられた黒髪がさらりと揺れる。名をロビンと言った。唯一金髪の見舞いにくる女だ。
自分は金髪にうんざりしている。何度も伝えてきた。しかし女は微笑みはせど、存外頑固もので引き下がらない。
「優しい子なの。いい子よ。だけれど少し良くないことがあって。」
困ったように女は小首を傾げる。
「悪い癖がついてしまったわ。」
「癖ねえ…」
笑ってやった。できる限り冷たく響くように。