退院も間近であった二度目の身投げの後、迷惑だから止めろと初めて男に抗議した。


「迷惑?」
「ああ。」
「鬱陶しい?」
「とても。」
「でも次もよろしく」


ひらりと手を降って、何でもないことのように男は一歩踏み出しながら建物の縁から姿を消した。消える一瞬細められた青い瞳と光る金髪が脳裏に焼き付く。


「………。」


黙ってそれを見送って不本意ながらも手術室に向かった。






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