インターホンを鳴らして出てきたのは金髪グル眉の男だった。

お、あんたがゾロ?
ああ、世話になる。
しっかし変な緑頭

煙草をふかしながら金髪は初対面早々そんな事を言う。ゾロは敢えて何も言わずに金髪男の巻かれた眉毛を意味深に凝視した。視線に気づいた金髪が足を振り上げるのを寸でのところで避けた。

危ねぇな!
うるせー居候の癖にガンたれやがってオロスぞクソ野郎!
無茶苦茶だぞお前!

まあいいや、あがれよ。シャンクスから話は聞いてんよ。家にあるもんはなんでも好きに使え。居たいだけ居りゃいいし、飽きたら出てけ。いいな。
助かる、ありがとう

感心したように金髪は目をぱちくりさせた

礼儀正しいなマリモ
マリモじゃねえ
長旅で疲れてんだろ?飯できてるから食えよ。ほら、あがったあがった!

促されるままに靴を脱いで上がりこむ。冬の空気で冷たく湿ったジャケットとは裏腹に、ほんわり温かい部屋の居心地の良さにそっと息をつく。男の一人暮らしと聞いていたのでそれなりに寂しい生活を送っているのかと予想していたが、それは全くの見当違いだったらしい。掃除は行き届いて廊下はピカピカに磨き上げられているし、置いてある物もよくわからないが相当上質なものだろうことは察しがついた。嫌味のない、ちょうどいい自然さで生活に馴染んでいるように見える。部屋の奥からは美味しそうな匂いが漂って来ていて、ゾロは前を歩く金髪の後姿を追いかけながら感心していた。

と、急に前を歩く金髪が立ち止まる。

そういやお前荷物は
ああ、外の車の中だ
なんだ、外暗くなる前にとって来いよ

無言で頷いてゾロは廊下を戻る。美味しそうな食事の匂いに後ろ髪ひかれる思いだったが、家主がそうしろと言うのだからおとなしく従うのが礼儀だろう。あ、そこのサンダル使えよ、後ろで金髪が言う。そこまでは2人、一緒だった。

ピタリ
外と玄関の段差の境目ギリギリでサンジは動かなくなった。まるでそこに見えない境界線が引いてあるかのように、黙ってそこに突っ立っている。そこでゾロは少しの違和感、いやかなりの違和感を覚えた。

おい

ゾロは少し戸惑いながら声をかけた。別に一人で運べない訳でもないが、違和感の正体が知りたかったのだ。

悪いが荷物運び出すの手伝ってくれ

あ、
寒そうに羽織ったニットをのばしながら、思い出したようにサンジが口を開く。

ああ、
おれはここからでられないよ

意味を測り兼ねたゾロは、片眉をあげることで詳しい説明を求める。

だってひきこもりだもん


金髪はにかり、と笑ってひらひらと右手を振った。



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