これと対になってます

いっそひとおもいに


「新幹線に飛び込んだ人間は赤い飛沫になって消えるという」なんとはなしに緑間がそう呟くと、何かを見定めるように目を細めた高尾がすいと、顔を上げた。相変わらずの視線を寄こしつつも高尾の口角はいつの間やら愉快そうに吊り上がっている。性質の悪い笑顔はそのままで、どこまでわかっているのかもわからない高尾は「いいねそれ」それだけ言って、あとはそのまま。
しばらく無言で2人、ホームに並ぶ。実を言うと電車を待っているというには語弊があった。もう何度、乗るべき電車を見逃したかわからない。触れたいのに触れ合えない、いや触れ合いたいのかもわからないでもやっぱり触れたい。お互い頭の中はぐちゃぐちゃだ。手をつなぐ、そんな簡単なことが今の高尾と緑間ではこんなにも難しい。

「ねえ真ちゃん」
「なんだ」
「俺今からお前と手つなぐから」
「な、に」
「いやだったらポーンと」

そう言って高尾は線路側に何かを突き出すみたいに手を伸ばした。









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テーマ「人外ファンタジー」
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